2023.12.2

KPT法とは?振り返りフレームワークや進め方を徹底解説

KPT法とは?振り返りフレームワークや進め方を徹底解説

振り返りの手法として「KPT法」を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。シンプルなやり方ながら、正しく実行することでプロジェクトの改善や成果創出につながる大きな効果を発揮します。本記事では、KPT法の目的やメリットを改めて整理し、実施するためのステップをご紹介します。

KPT法とは

背景

プロジェクトにおいては、成果を生み出すために計画策定、実行、振り返り、是正といったアクション、いわゆるPDCAを繰り返していきますが、問題解決と方向修正による効率化を図るフェーズとして振り返りは重要です。しかし、闇雲に進めてしまうと議論がまとまらなかったり、重要なポイントを見落としてしまったりと、効果的な振り返りができないままになってしまいます。

そこで用いると良い手法が今回ご紹介する「KPT法」です。KPTとは、Keep(続けること)、Problem(問題点・改善すべきこと)、Try(次に行うべきこと)の頭文字を取った言葉です。

そもそもKPTは、「アジャイルソフトウェア開発宣言」の著者の一人でもあるAlistair Cockburn氏が「Reflection Workshop」において提唱した「The Keep/Try Reflection」がもとになっていると言われています。

「The Keep/Try Reflection」では、下記の3つのポイントで振り返りを行うとされています。

  • What we should keep.(継続するべきこと)
  • Where we are having ongoing problems.(抱えている問題)
  • What we want to try in the next time period. (次にトライしたいこと)

これをもとに、「Keep」、「Problem」、「Try」の3つに分けて振り返りを行う手法として考案されたものがKPT法です。特に、短期間でPDCAを高速に回すアジャイル開発において有用な手法であるとして広まりました。

目的

では、なぜKPT法を用いるべきなのでしょうか。KPT法は職種や立場の違いを超えてプロジェクトの課題を共有し、改善が必要なポイントを明確化することがあげられます。

複数のメンバーで構成される事業やプロジェクトにおいて、職種や立場が異なる他のメンバーがどのような仕事をしているのか、どのような課題に直面しているか、など把握できないケースが発生した経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような場面においてKPT法を用いた振り返りを行うことで、職種や立場を超え、チームとして課題の共有や改善点の明確化を実施することが可能となるのです。

なお、ここでは複数人での活動目的をご紹介しましたが、同様に個人でも活用可能です。

メリット

続いて、KPT法を用いることで得られるメリットをご紹介します。

  • 意見交換の場の形成

KPT法を導入するということは、すなわちチームメンバーで議論の場を設けるということです。メンバーによって認識している課題が異なっていたり、同じ課題であっても捉え方が異なっていたりすることは良くあります。そのため、全員の認識を共通化し、同じ方向に進めるようすり合わせを行うことが重要です。

  • 次にするべきことの明確化

複数人のチームで構成されるプロジェクトを推進するうえで、チームワークが非常に重要といえます。良いチームワークを実現するためには、常に次に何をするべきなのかメンバー全員が共通認識を持っていることが重要です。KPT法では、「Try」のセクションで次にするべきことを明確化するだけでなく、「Keep」および「Problem」と紐付けることで、実行する根拠を示すことができます。

KPT法のフォーマット

KPT法を実施するために役立つツールもありますが、ここでは基本となるフォーマットをご紹介します。

KPT法のフォーマット

この図の配置に沿ってKPTをそれぞれ記入していきます。ポイントは、KeepとProblemの両方ともTryを考えるべきであるということです。
・Keep:続けること
・Problem:問題点・改善すべきこと
・Try:次に行うべきこと

KPT法の実施ステップ

ここから、「リモートワークで推進するプロジェクト」をテーマに具体的なKPT法の実施ステップをご紹介します。なお、KPTを記述する際は、色の異なる付箋とホワイトボードを使って記述するか、パソコン上でドキュメント作成ソフトやホワイトボードツールを使って色分けしつつ書き進めるといった方法がおすすめです。

ステップ1 「Keep」を考える

KPT法:ステップ1 Keep

まずはじめに、「Keep」の欄に、続けることを記入します。今回うまくいったこと、または前回Tryに記入し実行してみた結果、今後も続けていくべきだと判断したことを書くようにします。

ステップ2 「Problem」を考える

KPT法:ステップ2 Problem

次に、「Problem」の欄に問題点を記入します。Keepとは反対に、今回うまくいかなったこと、今後は継続すべきでないと考えられることなど、改善すべきポイントを洗い出していきます。

ステップ3 「Try」を考える

KPT法:ステップ3 Try

最後に、「Try」の欄に次回実施すること、問題や課題に対する解決策を記入します。ここで重要なポイントは、Problemに対する内容だけでなく、Keepに対する内容も書き出すということです。Keepに記入したことを続けていくために何をすべきか、ということもプロジェクトの推進には重要な観点です。

KPT法のポイント

KPTがすべて書けたら、Tryの内容を具体的なアクションとして実行するようにしましょう。その結果を再度KPT法で振り返り、次のTryを考えるようにします。このように、実行→振り返り→是正→実行→振り返り→是正→…と繰り返していくことが重要です。

また、2回目以降の振り返りの際には、前回のKPTをアップデートします。特にTryの欄に記入していた内容については、再度継続するべきかどうか、実行に際して問題が課題がなかったかを検討し、KeepおよびProblemの欄に記入していくという形で進めていきます。

まとめ

KPT法は、3つのセクションに分けてプロジェクトの振り返りを行う非常にシンプルな手法ですが、ただ単に振り返りを行うだけでは得られないさまざまなメリットが存在します。大きな成果を生み出すプロジェクトとしていくために、ぜひKPT法を導入し適切な振り返りを実行していきましょう。

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