プロダクトマネージャーが必要なスキルや注意すべきポイントまで徹底解説

プロダクトマネージャーとは、プロダクトやサービスの要求仕様/要件定義や、プロジェクト全体のマネジメント支援、企画・検討した内容を的確に推進するなどの役割を担う役職です。
近年、ITベンチャー企業を中心にこの言葉を耳にする機会も増えているのではないでしょうか。本記事では、プロダクトマネージャーがどんな職業で、なぜ必要なのか、求められるスキルや注意すべきポイント、プロジェクトマネージャーとの違いも含めてご紹介していきます。
Contents
プロダクトマネージャーとは
プロダクトマネージャー(Product Manager)はプロダクトマネジメントを行う職種で、PDMと略して呼称されることもあります。
そもそも「プロダクト」とは、製品やサービス・システムなどの企業が顧客に販売するモノやコト全般を指しています。

出典:製品マネージャー: 役割と初心者向けのベストプラクティス | ATLASSIAN Agile Coach
上記の図は、Matrin Eriksson氏のプロダクトマネーシャーの役割を説明した図です。プロダクトマネージャーはUX、テクノロジー、ビジネスの三つの観点を持つことが重要だとされています。
Eriksson氏は、ProductTankの創業者で、Monster、Financial Times、Huddle、Covestorといったグローバルブランドの企業とスタートアップの両方の環境で、20年以上にわたり世界レベルのオンラインプロダクトを構築してきた人物です。
プロダクトマネージャーはプロダクトを通じた顧客価値及び自社収益の創出を追求していく役割を担っており、どのような製品を販売するか検討し、企画開発を推進するのが職務です。「何を作るのか」「なぜ作るのか」という事業におけるWhyとWhatを重視してタスクを遂行します。
なぜプロダクトマネージャーが重要なのか
プロダクトマネージャーの具体的業務範囲は多岐に渡り、プロダクト要求/要件定義からマーケティング業務全般、ブランド管理、デザイン、データ分析、そしてパートナーシップの検討や対応、ライフサイクルマネジメント、カスタマー/技術サポートまで含まれています。
製品販売を行う際に携わる研究開発、製造はもちろんのこと、経営陣や事業企画、マーケティング、購買/ロジスティクス、広告/宣伝、営業、法務/財務といった様々な部署を取りまとめ、責任を負うポジションです。
これらを取りまとめるプロダクトマネジメントがない場合、各工程でバラバラな動きが起きやすくなり、プロダクトの品質が不均一、訴求内容とプロダクトの機能が合っていない、ブランドメッセージがうまく反映されていない、企画部署と営業部署の重視している観点が異なる等の問題が発生してしまいます。
プロダクトマネージャーはこういった問題の発生を防いだり、対処したりすることで、顧客満足を得て利益を生む役割としてとても重要なのです。

出典:プロダクトマネジメント/プロジェクトマネジメント | 株式会社Relic
上記は一例ですが、一つのプロジェクトの企画・開発から販売までを行うとした場合、以下のような主要業務、間接的な業務が考えられます。
主要な業務
- マーケティング調査
- プロダクト企画
- プロダクト開発
- セールス
- カスタマーサポート
間接的な業務
- 計画の管理
- 組織/人材
- IT
- 法務
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの違い
プロダクトマネージャーと頻繁に比較されるプロジェクトマネージャーは、定義やゴール、業務範囲等において明確に違いがあります。
プロジェクトマネージャーはあらかじめ定められた期間内での何らかの目標達成をするための業務/プロジェクトを、完了まで効率的にリードするという役割を担っており、 HowとWhenを重視して遂行していく立場となっています。
ゴールは担当プロジェクトの完遂であり、役割には期限があります。また、プロジェクトの規模によりますが、関連するステークホルダーは同一部門内(機能単位)のメンバーが中心となるでしょう。
プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントの観点ごとに以下の表で比較しているので、確認ください。

出典:プロダクトマネジメント/プロジェクトマネジメント | 株式会社Relic
プロダクトマネージャーとプロダクトオーナーの違い
プロダクトマネージャーと似たようなワードとして「プロダクトオーナー」について気になっている方も多いのではないでしょうか?
プロダクトマネージャーは、顧客や市場といった観点を重視し、長期的な戦略を立てることを役割問している上流工程の管理者です。一方、プロダクトオーナーは下流工程を担当し、開発チームとのみつなコニュニケーションを取って先導したり、短期的な目標を管理する役割をになっています。
プロダクトマネージャーに求められるスキル
プロダクトマネージャーは、プロダクトの開発からリリース、その後の成長拡大までをミッションとしており、プロダクトが存在する限り常に必要な役割です。
対象が「企業」か「プロダクト」かと言う違いはあれど、実態は経営そのものであり、「プロダクトのCEO」として開発から成長まで責任を担う存在と言えるでしょう。そのため、幅広いマネジメントスキルが必要になります。
プロダクトマネージャーに求められるスキルや知見、マインドについては以下の表をご確認ください。
求められる具体的な内容(一例) | |
スキル / 知見 | ・顧客/市場の課題やニーズを捉える力 ・開発/展開状況に応じた柔軟な対応力 ・プロダクト全体を俯瞰できる広い視野 ・コンフリクトマネジメントスキル ・ステークホルダーマネジメントスキル ・社内外を巻き込むコミュニケーションスキル |
マインド | ・変革力 ・継続力 ・共感力 ・粘り強さ ・ユーザー視点 ・営業マインド ・結果へのコミット etc… |
プロダクトマネージャーが注意すべきポイント
役割/業務過多
プロダクトマネージャーの業務/マネジメント範囲は多岐に渡っており、いつの間にか自分の業務が過多になっているということが起こりがちです。
また、並行して進んでいる複数のプロジェクトの中でタスクの優先順位が曖昧になり、気づいたときにはスケジュール遅延や品質低下のリスクが高まっているという状態が発生しやすい傾向があります。
問題の原因は、マネジメント判断をプロダクトマネージャー個人の力量に任せきりの組織状況になってしまっていることが挙げられます。プロダクトマネジメントトライアングルのようなフレームワークを活用したり、もっとチームに任せられる仕事はないか定期的に確認を行うなどの対策をしていきましょう。
経営陣/事業企画の過度な期待
プロダクトマネージャーは現場のマネジメントを行いつつ、自社の上層部や事業企画部門への報告などのコミュニケーションが必要になります。必要以上に自身の担当プロダクトの良い面をアピールしてしまったり、期待値調整を上方に行ってしまうことで、過度な期待をもたせてしまう傾向があります。
プロダクトに関する上層部の認識と現場の実情に乖離が生まれると、後々のコミュニケーションにおいて苦労することになります。透明性のある連携体制を目指して、期待値を実態に合わせてコントロールしていくことも、プロダクトマネージャーの大きな役割であると言えるでしょう。
開発/営業現場との調整不足
プロダクト開発フェーズでは、システム開発部門との調整において予想以上に予算が必要になったり、開発スケジュールが遅延することが散見されます。大きな歪みとなる前に調整・改善していくためには、より早い段階でシステム開発部門も巻き込み、現実的なスケジュール/コスト計画を策定することが重要になります。
また、リリース後のプロダクト開発フェーズでは、営業部門との様々な調整事項が発生します。売れ行きが良くないことによるプロダクト改善要求や、コミュニケーション不足による顧客情報遮断など、こちらも早い段階から営業部門を巻き込んでいくことが重要です。プロダクトマネージャー自ら顧客の元へ赴く姿勢を見せるなど、互いの信頼関係を築くことも大切です。
最後に
プロダクトマネージャーは企業と顧客をプロダクトという観点から繋ぐ架け橋です。企業ごとにプロダクトマネージャーの業務範囲や求められるスキルは異なりますが、ぜひ本記事を参考にして、顧客の満足度を上げて利益を最大化する方法を考えてみてください。
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