デジタルトランスフォーメーションによって、国内の金融業界はどのように変化するのか

金融業界は、他の業界に先駆けてデジタルトランスフォーメーション(以後DX)を行ってきたのにもかかわらず、一定の完成度を達成したところで、古いITシステムを前提としたものに固定化されてしまいました。その結果、金融のDXは停滞してしまっていました。今回は、DXにより、金融業界はどのような変化があったのか、今後どのように変化していくのかについて論じていきたいと思います。
Contents
現状
アンバンドル化を経てリバンドル化による金融市場拡大
金融の諸機能はこれまで、「範囲の経済」や「インセンティブ問題」などから情報生産コストが安くなり、その情報や仕組みの力によって、アンバンドル化が行われてきました。
現在は、そういったアンバンドル化による顧客体験向上や新技術による構造改革のフェーズから、金融行動の原因となる非金融サービスを入口に、異業種および金融業を横断したリバンドル化へと進んでいます。もはや、金融、決済行動に限らないUXにより市場を拡大しています。
整いつつあるDX×金融の高度化をスピードアップさせるための環境
➀インターネットとの親和性の拡大とセキュリティの両立
金融機関が古い金融ITから脱却し、インターネットとの親和性が高い新しい技術基盤を活用して金融の高度化を実現するための最大の障壁は、サイバーセキュリティへの懸念といわれていたが、現在は大幅に改善しています。
②ビッグデータの活用とプライバシーの保護の両立
日本は、海外に比べて個人情報保護の法整備が遅れていたが、現在は個人情報保護の取組みについては進展し、日本はGDPR((EUの一般データ保護規則))の「十分認定国」になっています。
③新規分野へのチャレンジに適合した制度のあり方
特に銀行グループの業務範囲規制が制約となり新しい取り組みができていませんでしたが、現在は、銀行法改正などで大幅に改善されています。
今後のDX推進において重要視されるAPI活用
APIとは
API(Application Programming Interface)とは、一般 に「あるアプリケーションの機能や管理するデータ等 を他のアプリケーションから呼び出して利用するため の接続仕様等」を指し、このうち、他の企業等からもアクセス可能なAPIが「オープンAPI」 と呼ばれます。
この「オープンAPI」は、オープン・イノベーションを実現していくための手段とされ、 単なるデータ連携上の意義を超えて、他の事業者等と金融機関が協働して、それぞれの保有する情報やサービスを組み合わせるための手段を提供するものです。
金融と外部のデータの活用により、資金ニーズを的確に把握した融資、与信や投資を正確に判断する際の、データ連携方法としてオープンAPIの活用が期待されています。
APIの分類
APIは、残高照会や取引明細(通帳記帳情報)照会などの「参照系API」。
本人口座から本人以外の口座等への資金移動(振込)や自口座内での移動、住所変更などの「更新系API」に分けられます。
参照系API
参照系APIとは、データを取得するためのAPIのことです。利用者は、参照系APIを公開している会社のデータを、その会社のウェブサイトや基幹システムとは別のアプリケーション上で見られるようになります。公開する側は、データベースのすべて、もしくは限られた種類のデータのみ、閲覧権限を与えることが可能です。
①銀行×クラウド会計
残高・明細参照/振込連携からその先のデータ蓄積・融資へとつなげるために多くの銀行でクラウド会計ソフトと法人口座のAPI連携を実施しています。API連携すると、電子証明書連携ソフトのような専用のソフトウェアを使用し、オーナー権限で取得をおこなう必要がなくなります。
また、金融機関の表示するお知らせなどにより明細取得ができなくなることも無く、安定した明細取得が可能となります。
<参考例>
・マネーフォワード×三菱東京UFJ銀行
https://biz.moneyforward.com/price
・マネーフォワード×みずほ銀行
https://biz.moneyforward.com/price
・Freee×ジャパンネット銀行
https://www.freee.co.jp/houjin/?referral=aw_brand
②家計簿アプリ
口座の残高不足や、クレジットカードの使いすぎなどのお知らせを受けることが出来るようになり、口座残高とクレジットカード引落予定額から引落予定日の残高不足の通知などを受けることが出来ます。
<参考例>
・お金の見える化アプリ「マネーフォワードME」
https://moneyforward.com/
②バンクアプリwuthCRECO
https://www.itrealize.co.jp/product/
更新系API
更新系APIとは、データを更新するためのAPIのことです。データを新しく作ったり、アップデートしたり、消去したりといったことが、更新系APIを公開している会社のウェブサイトを経由せずとも、別のアプリケーション上から実行できるようになります。
①自動貯金アプリ
<参考例>
・Finbee×みずほ銀行
https://finbee.jp/news/20171024/
まとめ
今回のコロナがこれまでのDXに至らないレガシーなシステムを浮き彫りにしたことにより、金融業界は今後、「どうやって」DXを実現するか、「どこまで」をDXするかという2つの視点が重要になってくると考えられます。
金融業界のDXがアジアで最も遅れていると言われている日本が今後どのようにして成長していくのか注目です。
【参考文献】
・金融業界のDXはどうあるべきか
https://www.sbbit.jp/article/fj/38014?page=2
・参照系APIと更新系APIとは
https://getmoneytree.com/link-blog-article-jp/about-readapi-and-writeapi
・Fintechの動向と決済分野での可能性
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shomu_ryutsu/kappu_hambai/pdf/020_05_00.pdf
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