UXリサーチとは?手法や事例を徹底解説

ビジネスの現場で「顧客体験をどう描くか」についてを意識する機会が増えていますが、それに伴って注目を集めているのが「UXリサーチ」です。UXリサーチを実施することで、ユーザーの声に基づいて、意思決定を行うことが実現可能になります。今回は、UXリサーチとは一体何か、実施するタイミングや手法について事例を交えてご紹介します。
Contents
UXリサーチとは
「UXリサーチ」とは「ユーザー体験に関わる調査」のことを指します。「ユーザー体験」とは、ユーザーがプロダクトやサービスを認知してから、購入したり、使用したり、製品やサービスとユーザーとのやりとりを意味する言葉です。英語では「User Experience」と言われ、「UX」と略称されます。
UXリサーチでは、1対1もしくは少人数へのインタビュー実施やユーザーの実際の行動観察を通して、ユーザー心理やユーザーニーズを明らかにすることを目指します。
プロダクト開発の場面において、ユーザーの心理や行動が開発の意思決定に必要な情報となるため、UXリサーチは非常に重要な手法の1つです。
UXリサーチのやり方
ここでは、ユーザーニーズを把握するためのUXリサーチの方法についてご紹介します。
UXリサーチの手法は大きく分けて3種類あります。
- スモールリサーチ
- 探索型リサーチ
- 検証型リサーチ
これらの手法は、抱えている課題や、状況に合わせて取り組むのが良いです。
スモールリサーチ
スモールリサーチとは身近な人へリサーチをすることを指します。まずは、時間や予算、上司や同僚からの理解を気にせずに、気軽にリサーチをしてみましょう。
例としては、
- 1人に30分ヒアリングを実施する
- 家族や友人にサービスを使ってもらって感想を聞いてみる
- 試作品を別の部署で使用してもらい、フィードバックをもらう
上記のように、すぐに始められる、身近な人への調査も立派な「UXリサーチ」と言えます。時間や予算を掛けずに取り組みたいときに有効です。
探索型リサーチ
身近な人へのリサーチを実施後に、更なる課題を発見するために「探索型リサーチ」に取り組んでみましょう。探索型リサーチとは、ユーザーへのリサーチに基づいて仮説を立て、ニーズを深掘りするアプローチ方法です。
具体的なリサーチ方法としては、以下のものが挙げられます。
- 自由記述式のアンケート
- ユーザーインタビュー
「自由記述式のアンケート」では、仮説を立てそれを質問形式で投げかけて、文章で自由に回答してもらうものです。実際のユーザーはどう感じているのか、自由に記述してもらうことで、選択式にはない視点での結果を得ることができます。
「ユーザーインタビュー」では、時間軸ごとに、ユーザーと製品・サービスとの出会いから、利用している理由など「When」や「Why」の部分にフォーカスして調査することが大切です。ユーザーへの理解を深めたいときに非常に役立ちます。
検証型リサーチ
課題の検証が済んでいて、解決するための仮説があるときに有効なのが「検証型リサーチ」です。探索型リサーチをもとに立てた仮説が、ユーザーニーズに適しているのかを検証するためにも実施されます。
具体的なリサーチ方法としては、以下のものが挙げられます。
- コンセプトテスト
- ユーザビリティテスト
「コンセプトテスト」は、課題の解決策が具体的に定まっていない場合に有効です。解決策として考えているアイデアをイラストや文字で視覚化することで、ユーザーがきちんと理解することができるのか、またどのような反応が返ってくるのかをテストします。
「ユーザビリティテスト」では、ユーザーがどのように製品を使っているのか「How」の部分に注目しましょう。ユーザー目線で見ることで、今まで気づくことのできなかった課題に気づくことができます。他にも、課題の優先順位をつけたいときに活用すると良いでしょう。
UXリサーチの実施のタイミング
UXリサーチの実施のタイミングは、プロダクトの成長プロセスに沿って、「企画段階」「リリース前の検証」「リリース後の検証」「改善施策の優先度付け」の4つのシチュエーションが考えられます。
企画段階
UXリサーチは、新しい企画やプロダクトを考えるときの段階において活用することができます。まず企画段階ではターゲットユーザーの潜在的なニーズを調査することが必要です。ここでの主な手法はインタビューです。企画段階で直接ユーザーの声を抽出することで、次の段階でユーザーの求めている機能や効果を確実に検証することができます。
リリース前の検証
次はリリース前の検証段階です。ここでは、企画がある程度定まってその検証を行います。いわゆる「プロトタイプ検証」を実施し、サービスのコンセプトや、用意したコンテンツがユーザーのニーズに合っているのかどうかなどを検証します。
リリース後の検証
3つ目はリリース後の課題抽出です。いくらリリース前に検証を重ねたとしても、実際に、リリースしてユーザーに使用してもらうことで見えなかった課題が出て来ます。この段階でUXリサーチを行うことでユーザーの「顕在ニーズ」を明らかにし、次の段階の改善施策の優先度づけやプロダクトの品質向上に繋げることが大切です。
改善施策の優先度付け
最後に、ユーザーテストを実施し課題が明らかになったところで、施策案とその優先順位を決定します。ここでもUXリサーチの出番です。コアユーザーに絞ってインタビューを行い施策の取捨選択を行う必要があります。直接ユーザーの声を聞くことで、既存サービスのよかった点と改善するべき点を整理することができます。
UXリサーチの事例
ここではUXリサーチの事例として、メルカリが提供するスマホ決済サービス「メルペイ」をご紹介します。メルペイの事業部には、UXリサーチャーという職種が存在します。メルペイのUXリサーチャーは大きく3つの業務を行っています。
まずは定期リサーチです。メルペイでは、毎週もしくは隔週に1回、90分間、4人のユーザーを招いてリサーチを実施しています。定期リサーチは前述した検証型で行うことが多く、仮説やアイデアの修正点がないかを調査しています。
次に企画型リサーチです。これは案件の状況に応じて、ゼロからリサーチの企画を立ち上げるものです。今期もしくは来期以降を見据え、プロダクトや事業の状況に合わせて、戦略的に企画・実施します。このリサーチでは探索型を重視しており、「ユーザーがどんな生活をしているのか」「どのようなことが課題となっているのか」など実態について調査をしています。
そして、3つ目の業務はリサーチを行うプロダクトマネージャーやデザイナーをサポートするリサーチサポートです。プロダクトマネージャーやデザイナーに伴走することに加え、UXリサーチの目的や手法などの知識が身に付くよう、コンテンツを作成したり勉強会を開催するといった取り組みを行なっています。
このようにプロダクトマネージャーやデザイナーが自ら本格的なUXリサーチを行うメルペイの特徴として、量的なデータだけではなく、質的なユーザーの実際の声も活かして意思決定したいという文化が醸成されていることが挙げられます。
まとめ
UXリサーチを実施することで、ユーザー自身も気づいていなかった思考や感情、ニーズを把握することできます。そのうえで、開発チーム全体が「ユーザーの体験」に目線を合わせて、当事者意識を持つことで、ユーザーの利益につながる製品・サービス開発を行うことができます。新規事業に取り組む場合も、既存事業を改善する場合も、UXリサーチの導入を検討することを考えてみてはいかがでしょうか。
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