2023.10.17

フィージビリスタディとは?プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討する4つの手順を解説

フィージビリスタディとは?プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討する4つの手順を解説

みなさんは「フィージビリティ・スタディ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
新規事業立ち上げを検討する際の意思決定を行う前段階において、
採算性や実現可能性などを多角的に調査・分析することを指します。

では、「フィージビリティ・スタディ」にはどのようなメリットが有り、具体的にどのように進めていくものなのでしょうか。
今回は事例もご紹介しながら詳しく解説していきます。

フィージビリティ・スタディとは?

そもそもフィージビリティ(英:Feasibility)とは、「実現可能性」を意味する言葉。
フィージビリティ・スタディ(フィジビリティ・スタディ / fs とも呼ばれる)では、企業の新たな事業、商品やサービス、プロジェクトなどが実現可能なものかどうかどれくらい利益が取れるかについて事前に調査・検討を行います。
その結果を踏まえて、計画内容の変更や計画自体の取り消し、最適案の決定、代替案の検討などの実行に移ります。

フィージビリティ・スタディの重要性

プロジェクトが自社にとって有益に働くものかを見極めることがフィージビリティスタディの主たる目的です。
特に新規事業を立ち上げる際は、構想している事業が本当に実現可能なのか、継続的な利益を生み出せるモデルとなっているか、不確実性が高いために不明瞭な場合が少なくありません。

フィージビリティ・スタディの期間は数週間から数ヶ月、ものによっては実証試験などを交えるため数年に渡ることもあります。
また、調査範囲も広く、自社の強み・ビジョンと計画の内容が一致しているかどうか、技術的かつシステム的な実現可能性があるかどうか、業界・市場面、技術面、財務面、運用面など、あらゆる視点から調査を実施していきます。
調査を通して事業の実現可能性についての解像度を高めることで
リスクを回避できることに加え、調査を経て明らかになった課題の解決により事業の成功確率を引き上げることも可能になります。

フィージビリティ・スタディの歴史

1933年、アメリカの当時大統領フランクリン・ルーズベルトは、世界恐慌の対策で実施したニューディール政策の一環として、テネシー川流域開発公社(TVA)を設立。
これが今日におけるフィージビリティ・スタディの最初の事例であると言われています。
以来、政治的にも社会的にも多大なる影響を与えることが証明されたフィージビリティ・スタディは、ダム、原子力関連施設、空港、ごみ処理場などの大規模な公共事業開発において、多く実践されてきました。

フィージビリティ・スタディの手順

フィージビリティ・スタディを実行するためには、以下の4つの手順を踏むのが一般的です。

課題の明確化

まず、新規事業における課題を洗い出す必要があります。課題の洗い出しに重要な観点は以下の3つです。

① 技術面
新規事業に必要となる設備やシステムは利用可能か・十分な生産能力を持っているか、開発が必要な場合は求められる技術や知識を持った人材がいるかどうか、などを確認します。

② 財務面
企画段階からサービスのローンチまでに要するコストやROI(投資収益率)を算出し、経済面での実現可能性を判断します。

③ 運用面
事業を持続させるために必要なノウハウ、スキル、適性を持った人材および組織体制の有無、適用される法的要件などを評価します。

課題の明確化においては、各課題をできるだけ具体的に洗い出すことで、事業開発を進める上で思わぬ問題に直面するリスクを低減できるだけでなく、次のステップにおいてより有効な解決策を検討することが可能になります。

要求事項のリストアップ

次に、課題解決を行うために必要な要求事項をリストアップしていきます。具体的には、
・効率化を推進するために導入が必要な業務プロセス・ツール
・機能を充実化させた新システムの開発
・新たなチーム・部門の組成
・追加予算の獲得
など、事業内容により様々な要求事項が考えられるでしょう。
またこの段階で「解決までに要する期間・発生する費用」を解決策ごとに算出しておくことが重要です。

代替案の明確化

前述の課題解決に向けたプロセス・解決案は、検証を進めるうちに実現が困難であると判明する可能性もあります。
状況の変化に合わせて柔軟な対応ができるよう、様々な角度から起こりうる問題を予測し
複数の代替案を用意しておくことがポイントです。

フィージビリティ・スタディ結果の評価

複数の課題解決案を作成した後は、フィージビリティ・スタディの評価項目を明確化させます。具体的には以下のような評価領域が含まれます。

技術能力予算適法性リスク運用上の実行可能性期間

なお、評価項目を決定する際は、プロジェクトの実施による外部への影響、競合優位性の持続度合い、市場動向などの観点を考慮する必要があります。
フィージビリティ・スタディの実行に移った後は、事前に決定した項目に基づいて評価を行います。
この際、一時的にリスクが生じても
最終的に利益をもたらす事業かどうか、を基準にすることが望ましいとされています。
まとめられた結果は、事業を継続するか否かの判断材料となるだけでなく、融資している企業や投資家の意思決定に大きく関わる重要な要素となります。

Facebookページから
最新情報をお届け

記事のアップデート情報や新規情報はFacebookページで随時配信されております。
気になる方は「いいね!」をお願いいたします。

新規事業・イノベーションガイドブック

4,000社、20,000の事業開発で得た新規事業立ち上げのノウハウを一部無料公開。

<本資料の主な解説事項>
なぜ今、新規事業やイノベーションが必要なのか?
新規事業開発は、なぜうまくいかないのか

無料ダウンロード
Category archive

事業開発の記事

資料請求、お問い合わせはフォームからお気軽にご連絡ください。

お問い合わせ