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2018.10.1

企業を悩ます「イノベーションのジレンマ」とは?

企業を悩ます「イノベーションのジレンマ」とは?

昨今、国内にある多くの企業は自社の収入源を確保するために、さまざまなイノベーションを興し改革を実践しています。ところが、そこには大企業や優良企業ならではの大きな落とし穴があると指摘されています。それが「イノベーションのジレンマ」です。

イノベーションのジレンマとは?

「イノベーションのジレンマ」(英: The Innovator’s Dilemma)とは、大企業や優良企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営の理論であり、”業界トップになった企業が顧客の意見に耳を傾け、さらに高品質の製品サービスを提供することがイノベーションに立ち後れ、失敗を招くという考え方”を指します。1997年にアメリカのハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱した考え方です。

イノベーションのジレンマに陥る5つの理由

クリステンセン氏は、イノベーションのジレンマに関する原則に以下の5つを挙げています。

顧客と投資家に資源を依存している

おもてなし文化を重んじている日本では、過度な顧客至上主義が目立つケースが時たま指摘されています。主要顧客の確保において、顧客のニーズに沿った高性能な製品や優れたサービスを常しえに生産し続けなければならないという風潮も伺えます。顧客のニーズや既存株主の意向に耳を傾け過ぎて、過剰満足な製品やサービスを提供すると、自社のシェアを失うきっかけとなり、結果的にイノベーションのジレンマに陥りやすくなります。

小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない

イノベーションの初期段階では市場規模が小さく、大企業にとっては参入の価値がないように見えます。そのため、優良な大企業が真剣に検討するようなビジネスではありません。

存在しない市場は分析できない

優良な大企業にとって、市場を分析して合理的な意思決定を行う能力が備わっています。分析や予測が出来ない限り、新たな市場に踏み出そうとはしません。その結果、破壊的技術へ取り組む機会を失い、イノベーションのジレンマにも陥りやすくなります。

組織の能力は無能力の決定的要因になる

「組織の能力=働く人材の能力」という図式はありません。組織の能力を生み出すプロセスや価値基準も、状況が変わると組織の無能力の決定的要因となります。スタートアップの時点では柔軟になんでも吸収できていたことが、企業が成長するに従って柔軟な対応が取りにくくなることがあります。

技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない

イノベーションは当初こそ小規模な市場でしか使われませんが、いずれは主流市場で競争力を持つようになり、製品やサービスの技術が顧客ニーズを上回る場合があります。その結果、メーカーが提案した機能と、ユーザーが求める機能の不一致が生じる可能性もあり、例えば小型テレビが将来的に普及するとしても、画質が悪かったり値段が高かったりするとなかなか売れません。また、「テレビは大きいものだ」という先入観が持たれていると、それが取り除かれるまで需要は伸び悩みます。

イノベーションのジレンマ事例

デジタルカメラ

日本のデジタルカメラ事業は、世界のカメラ市場に大きな影響を与えています。高度な撮影スキルや経験がなくとも、簡単に綺麗な写真を撮ることができる高性能かつ高価格な一眼レフデジタルカメラは、持続的イノベーションの顕著な例として知られています。ところが、カメラ機能の備わった携帯電話の登場によりデジタルカメラの売上は低迷し始め、当初こそ高画質・カメラサイズの大きさなどで差別化が図れていましたが、スマートフォンの登場により、画質・サイズともに優れた写真の撮影が可能となり、一気にカメラ市場は変化しました。

携帯電話という全く異なる製品がもたらす破滅的なイノベーションを予想することができず、まさにイノベーションのジレンマに陥ってしまった事例として知られています。おかげで現在デジタルカメラはカメラ市場においても苦戦を強いられているようです。

居酒屋

リーズナブルな値段で豊富なメニューを提供できる居酒屋チェーン店の登場は、1980年代頃から急激に進化し国内の外食市場のシェアを一気に変えました。ところが、高品質かつ低価格な食材やサービスを提供することで、顧客の要望は次第に上昇していき、さらに深刻な人手不足による長時間労働や過労死が社会問題化したことで、ブラック企業が多いというイメージが広がったことをきっかけに、企業の潤いが逆効果に働いてしまったと言われています。

その結果、これまで非効率と見なされていた手法により新たな価値を提供する新興居酒屋が好評となり、全国展開を前提としたチェーン店が一気に減るようになりました。これも過去の成功体験による事業展開に終始してしまうというイノベーションのジレンマと捉えられるでしょう。

実際、代表的な居酒屋チェーン店として知られる「和民」は、2008年頃から外食事業の業績悪化に陥り、軌道修正の意思決定を行うまでの間、さまざまなイノベーションを実施しましたが、ブラック企業のイメージが根付いたり、巨額な赤字を繰り返したりして、2016年頃まではまさにジレンマに陥った期間となっていました。

イノベーションのジレンマに陥らないためには?

イノベーションを行うには、不確実性とリスクが常につきまといます。それらをしっかりとコントロールしなければ、イノベーションを含めた新規事業を立ち上げることはできません。そして既存顧客を大量に抱える以上、大企業がイノベーションのジレンマに陥りやすいのは事実です。

ここではイノベーションのジレンマに対処する為の方法を紹介します。

 

既存事業に直接関連した技術だけでなく、それ以外のイノベーションを起こそうとする

必要な人材を育成し、採用し、既存のテクノロジーを生かすとともに、その延長上に新しいテクノロジーを開発し、新しい市場に進出することはイノベーションのジレンマを脱却する上で効果的な方法です。

例えば、富士フィルムは、銀塩カメラからデジタルカメラへのシフトに対応できず一時期経営危機に陥りました。そこで富士フィルムは、液晶テレビのフィルター事業を収益の柱に育て上げるだけではなく、銀塩カメラの要素技術を応用し、化粧品事業を立ち上げました。

別の例として、JSRは、合成ゴム事業をしていた会社でしたが、「この技術を化学製品全般へと広げていけるのではないか」と考え、半導体から医療用具まで、幅広い分野に進出しました。

イノベーションを予測し、先手を打つ

クレイトン・クリステンセンによると、時代の流れと本質をどれだけ読み切れるかが重要で、読み切れない場合は複数のシナリオを用意するのが得策です。

例えば、ユニリーバは、コンテンツ制作やモバイルマーケティングなどのマーケティングテクノロジー分野のスタートアップ支援を目的としたユニリーバ・ファウンドリーの創設しています。

ユニリーバ・ファウンドリーは、ベンチャー企業からアイディアを募集し、採用された企業には、提携などを行い、賞金を与えたりしています。

ベンチャー企業にとってもメリットがあり、ユニリーバ側としても社外の資源をうまく活用し、イノベーションを起こすことのできる仕組みを作りました。

まとめ

さて、今回はイノベーションのジレンマについて解説しました。今の時代、企業の大きさに関わらず、イノベーションのジレンマを正しく理解しておく必要があり、次世代を担うような企業へと成長していくことが、企業経営として求められていることです。今後、新たなイノベーションに取り組まれる予定の方は、ぜひこの記事を参考にして実践してみてください。

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