2023.11.21

クラウドファンディングのファッション関連プロジェクト事例

クラウドファンディングのファッション関連プロジェクト事例

日本のクラウドファンディングでは社会貢献を目的としたプロジェクトが多くみられましたが、ファッション業界でも浸透し始めています。その背景には、消費者の「ブランドを育てたい」という心理、作り手側も、消費者のニーズを知り、商品開発に生かすことができるという相互関係にあるようです。

消費者は気に入ったブランドを特別価格で購入することができるだけでなく、デザイナーとコミュニケーションがとれたり、まだあまり世に知られていないブランドに資金支援することによってそのブランドを「育てる」ことができたりします。

一方ブランド側は、まとまった資金を集め、活躍のフィールドを広げていくことができます。また、支援者との絆が強まり、ファンの定着化が図れるとともに、クラウドファンディングを通して新たなファンを見つけることもできます。また、近年廃れつつある伝統的な技術を取り入れ、再注目させるといった社会貢献的役割も果たしているプロジェクトも見受けられます。

こういったことからクラウドファンディングとファッション業界は相性が良いと言えそうです。実際にファッション業界でクラウドファンディングを活用した事例をいくつか見てみたいと思います。

日本の若手デザイナーのブランド「Yasutoshi Ezumi」(BOOSTER)

日本の若手デザイナー、江角泰俊氏は2010年に「Yasutoshi Ezumi」を立ち上げました。

江角氏は、海外の展示会への出展費用を調達するため、パルコが運営する「BOOSTER(ブースター)」を利用。2014年12月中旬から45日間で211万6000円の調達に成功ました。翌年2月、米ニューヨークで開かれた展示会で作品を披露し、注目を集めました。世界的なファッション専門紙の表紙を飾ったり、ファッション誌「VOGUE」からファッションイベントに日本代表として招かれたりするなどの評価をうけています。

また、独自動車大手フォルクスワーゲンの制服デザインに起用されるなど、クラウドファンディングを活用した資金調達により、知名度や活躍のフィールドが広がった例と言えるでしょう。

国産腕時計「Knot(ノット)」(Makuake)

「Knot(ノット)」は腕時計の文字盤部分とベルト部分の組み合わせを自由に選べる商品です。

創業から3か月でサイバーエージェント・クラウドファンディングが行う「Makuake(マクアケ)」の利用を開始しました。国産でありながら1万円台という手頃な価格と、デザインをカスタマイズできる自由度が人気となり、500万円超の資金調達に成功しました。

その実績を評価され、銀行側からの融資の申し込みや、全国チェーンの時計販売店からの引き合いが多数あったそうです。現在では百貨店での取り扱い開始や、2015年に吉祥寺で直営店をオープンさせるなどの成長をみせています。

資金支援者だけの特典として、商品の腕時計の裏蓋に限定の刻印をして提供し、ブランド支援者への「特別感」もプラス。支援者とブランドの距離をより身近に感じさせ、ブランドへの愛着を持たせる工夫もなされています。

FACTOTUM ×⻲⽥縞(CAMPFIRE)

クラウドファンディングプラットフォームのCAMPFIREは2016年10月4日(火)に、ファッションに特化したクラウドファンディングサービス「CLOSS」を開始しました。

その「CLOSS」内でメンズブランドFACTOTUMは、日本の伝統的な織物「亀田縞」を使った商品のプロジェクトを立ち上げました。「亀田縞」は新潟県の亀田地区に江戸時代から伝わる織物ですが、和服から洋服への移行に伴い衰退の一途を辿りました。その伝統を後世に伝えようという織物職人と、亀田縞に感銘したFACTOTUMのデザイナー有働氏がコラボレートした商品を提案したのです。

2017年1月12に募集を開始し、130万強の資金調達に成功しました。

単なる商品の提案にとどまらず、伝統工芸を後世に伝えるという社会貢献にも繋がるプロジェクトの例と言えます。

「MITSUKO SUZUKI」(A-port)

オートクチュールデザイナーMITSUKO SUZUKI氏はクラウドファンディングで資金を募り、2016年8月に表参道でショーを開催しました。現在では一般的ではなくなってしまったオートクチュールの縫製技術を広く知ってもらうため、クラウドファンディングの支援者と一緒にショーをつくりあげることで服作りの工程や技術に興味をもってもらおうという狙いがあったそうです。

特筆すべきは、リターン(クラウドファンディング支援者への特典)です。リターンの一つとして、ショーの後に催されたパーティーで、ショーでモデルが着用した服をすぐに試着できるという「モデル体験コース」を用意しました。プロカメラマンに撮影してもらえる貴重な体験になります。

支援者がブランドをぐっと身近に感じられる体験でもあり、ブランド側としても商品や、実際に触れてもらわないとわからない技術を伝えられる機会創出をクラウドファンディングが担ったと言えるでしょう。

まとめ

このように、クラウドファンディングをきっかけに評価され、大きく成長しているブランドが多数みられます。

今までは既成の商品をただ買うだけの受け身の消費でしたが、クラウドファンディングでは消費者が参加できる新しい消費のかたちがみられます。

クラウドファンディングでの成功を受け、百貨店内で期間限定ショップが開設されたり、伊勢丹新宿本店で商品を展示し、実際に見ることができるというイベントがおこなわれるなど、大手もクラウドファンディングの仕組みに注目し活用し始めました。今後もファッション分野での活用が広がっていくように思われます。


参考

Makuake: https://www.makuake.com/project/knotflagshop/
Fashion Crowdfunding Nightレポート: https://shopcounter.jp/library/209
日経カレッジカフェ: http://college.nikkei.co.jp/article/45001718.html
READY TO FASHION MAG: https://www.readytofashion.jp/mag/event/mistuko_suzuki/
CLOSS: https://camp-fire.jp/projects/view/17303

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