2023.11.21

オープンイノベーションの現状とは?最新事情を徹底解説

オープンイノベーションの現状とは?最新事情を徹底解説

「オープンイノベーションに挑戦したが、うまくいかない」という声を聞くことが少なくありません。本記事では、オープンイノベーションがうまくいくケース/いかないケースとその原因についてご紹介いたします。

新規事業開発やイノベーション創出におけるアプローチの1つとして「オープンイノベーション」という概念や言葉が流行し始めてからしばらく経ちますが、関係各所の話を聞いていると、ブームに乗っただけの人たちの大半は「失敗」という認識を持ち、オープンイノベーションの取り組みを中止するか、1度目の失敗を踏まえて2度目のチャレンジに挑み始めているようです。なぜ失敗してしまったのか、どうすればうまくいくのかという反省を踏まえて「意思」を持ち始める人たちもいれば、依然として手法論に終始している人たちもいます。うまくいく可能性があるのはもちろん前者で、後者はいつまで経っても手法論に終始してしまうのではないでしょうか。

うまくいくケース/いかないケース

「オープンイノベーション」という言葉が使われるか否かはさておき、他社との協業/アライアンスによって事業を立ち上げるというケースを弊社Relicとして多数経験してきたなかで、うまくいくケースとそうではないケースの違いや共通点といったものが少しずつ見えてきています。間違いなく言えるのは、うまくいかないケースの大半が「双方の新規事業開発における目線と時間軸が合っていないこと」が要因だと考えています。つまり「何を目的として、どのくらいの時間軸で、どのくらいの事業規模や事業貢献を目指すのか」といった点がすり合っていないまま「オープンイノベーション」という形だけがスタートしてしまっている、もしくは後々すり合わせるつもりだったが、上手く調整することが出来ない、といったケースです。もちろん他にも様々な要因を挙げることはできるのですが、突き詰めて本質的な要因を追求すると「双方の新規事業開発における目線と時間軸が合っていないこと」に至ることが大半なのです。

そういった意味では、最近の主流であり、うまくいかないことが多い典型として「大企業×スタートアップ」の組み合わせがわかりやすい例です。スタートアップは大抵の場合において、資金やリソースに余裕が無いため、短期的な収益貢献や出資、PR/実績づくり等のわかりやすい結果を追い求めてしまいがちですし、そもそも資本政策的には短期間での急成長を求められる集団でもあります。それに対して大企業は、より多角的な面から取り組んでいる可能性が高いのです (もし短期的な収益や成果のみを求めるのであれば、既存事業の改善にリソースを集中したほうが余程確実性が高いため)。

そのため、スタートアップとはなかなか目線や時間軸がすり合わず、目線が異なればビジョンや戦略が異なってきますし、時間軸が異なればコミュニケーションの質や頻度、手法にも影響が出てくることになりますが、ここがズレたままでは健全に新規事業開発を進めるのはほぼ不可能な状態になってしまうため、結果うまくいかないのもの当然のことと言えます。もちろん、すべてのケースがそれに当てはまるわけではなく、本気で中長期的に世の中に大きく貢献するインパクトを出せるだけの規模感や意義を求めるべき(言い換えれば、求める余裕がある)組織であり、目線が高く、時間軸を長く見るケースも多いのは事実です。

一方、大企業でも、目線が低く、時間軸も短い人たちはいますが、そのような大企業同士で「オープンイノベーション」に取り組んだとしても、大した成果も生まれずに単発で終わることが多いのが現状です。大企業がそのような状態になる場合、往々にして、何かしらの取り組みをトップダウンで指示されているのに対し、それを実際に推進する担当者には「意思」がなく、そもそも取り組みにおける目線というものをもっていなかったり、トップに報告するためだけのわかりやすく短期的な指標だけを求めてしまったりすることがあります。その結果として、達成が比較的目指しやすい、無難なプロセス指標(例えば協業件数等)を設定し、本質的な事業の成功の定義や目線/時間軸などのすり合わせは行われないまま進むことになってしまいます。

目線と時間軸を合わせることの重要性

最初から目線と時間軸がすり合っている最適なパートナーの探索に成功すれば良いのですが、ほとんどの場合においては、いずれかの企業がそこを柔軟にチューニングすることによって協業が成立しており、その柔軟性を持ちにくい大企業同士の協業が上手くいかないことが多いのも、同様の理由だと考えています。

目線と時間軸を合わせることの重要性は、自社単独で行う新規事業開発と同様ですが、それを外部企業との連携においても実現できるか、つまり「真に同じゴールに向かって走る一つのチーム」として他企業と連携することができるか、が肝となります。

自社単独で行う新規事業開発において自社内の部署間ですらうまく連携できない人が、さらに複雑な外部企業と連携するのは極めて難しいといえます。まずは、自社単独で行う新規事業開発において、複数の部署や役職の人たちと「目線と時間軸」を合わせ、「真に同じゴールに向かって走る一つのチーム」づくりと主体的な運営を徹底して経験することがその土台になると考えています。

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