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2021.6.28

その事業領域、実はもっと大きいはず。バリューグラフを使って幅出しを!

その事業領域、実はもっと大きいはず。バリューグラフを使って幅出しを!

「バリューグラフ」という手法をご存知でしょうか?非常にシンプルな構造でありながら、本質的な目的や価値の追求によって視野を広げる事ができる手法です。本記事では、バリューグラフの背景、目的と作成ステップをご紹介します。また、事業領域の幅を広げるポイントもあわせてご説明します。

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バリューグラフとは

事業アイデアを検討するうえで、どの領域を対象とするのか策定する必要があります。その際、仮説を立てるベースとなるのは既に持っている知識やデスクリサーチの結果であることが多いのではないでしょうか。

しかしそれでは、すでに一般的になっている領域の範囲内で事業検討を進めることになり、なかなか新しいアイデアの創出につながらないということが考えられます。この裏を返すと、他の人が気づいていない範囲も実は事業領域に含まれると示すことができれば、事業アイデアの新規性を見出すことができると言えます。

事業領域の検討方法はさまざまありますが、本記事では「バリューグラフ」をご紹介します。バリューグラフとは、スタンフォード大学の故石井浩介教授らによって開発された価値工学の手法です。もともとは、製品やサービスの目的や価値(バリュー)を構造的に可視化し、アイデアの幅を広げるために用いられる手法ですが、事業領域に対する理解を広げることにも適用できます。

図1 バリューグラフの記述例

図1は、Appleの開発チームが自社のパーソナルコンピュータ「Macintosh」に搭載する空冷ファンの価値について議論した際に作成したバリューグラフです。

「空冷ファン」を起点とし、空冷ファンを搭載する目的は空気の流れをつくること、空気の流れをつくる目的を熱を除去すること、といったように、なぜそうするのか?を繰り返し考えていくことで、「信頼性を向上させ長寿命を実現」という最上位の目的(本質的な価値)を導出します。

また、上位の目的を設定する際に、その目的を実現する代替手段を検討します。たとえば、空気の流れをつくるという目的に対しては、空冷ファンの他に「対流を発生させる」という手段が考えられます。熱を除去するという目的に対しては、空気の流れをつくる以外に「水で冷やす」という手段が考えられます。

このように考えていくことで、本質的な価値の達成には空冷ファンのほかにさまざまな選択肢があることが分かり、たとえば「高性能なチップにする」ことでも良いと考えることができます。

以上がバリューグラフの構造です。より上位の目的は、下位の目的を抽象化することで導かれ、逆に下位の目的は、上位の目的を具体化することで導かれる関係にあります。

このバリューグラフにおいて、起点となるキーワードを事業領域を表す言葉に設定すれば、その事業領域に取り組む本質的な目的を考え、他に取りうる手段を含めて俯瞰的に分析することができます。

バリューグラフの作成ステップ

図2 バリューグラフの最小単位

ここからはバリューグラフを作成するためのステップを、図2に示したバリューグラフの最小単位を使って説明します。また、事業領域を「ヘルスケア」とした場合の各ステップにおける記述例を紹介します。

ステップ1 起点となるコンセプト、アイデア、テーマを設定する

図3 バリューグラフ 記述ステップ1

まずはじめに、検討している事業のコンセプトやアイデア、テーマ(A)を設定します。特に書き方の指定はないので、ヘルスケアであればそのまま「ヘルスケア」と書くか、「ヘルスケア製品」のように書いても良いです。

ステップ2 上位の目的を考える

図4 バリューグラフ 記述ステップ2

次に、Aに対して「なぜそうするのか?(Why?)」を問い、Aを実現する目的(B)を上段に記述します。書き方としては、「〇〇するため」とすると上位の目的であることが明確になります。ここでポイントになるのは、誰にとっての目的かということです。

例えばヘルスケアの場合、ユーザーがヘルスケア製品を利用するのは「病気を予防するため」という上位の目的があるから、と考えることができます。

ステップ3 代替手段を考える

図5 バリューグラフ 記述ステップ3

続いて、上位の目的(B)を達成する別の手段を探します。その際は「どのように?(How?)」という問を設定し、考えられる手段(C)をAと並列に記述します。ヘルスケア製品に対して、「病気を予防するため」という上位の目的を設定した場合、代替手段として「健康診断に行く」「ワクチンを接種する」などが考えられます。

ステップ4 ステップ1-3を繰り返す

ステップ3までできたら、後は繰り返しになります。上位の目的に対して「なぜそうするか?」を問い、考えられる目的に対して「どのように?」を問うことで代替手段を検討します。この作業を繰り返すことで、起点となるアイデアやコンセプト、テーマからは想像できなかったような目的や実現手段につながっていきます。

事業領域の幅を広げるポイント

 

図6 バリューグラフ 記述例2

図6は、ヘルスケア製品を起点とするバリューグラフをさらに書き進めたものです。この図に示したように、ヘルスケアには「病気を予防するため」という目的の他に、「体型を維持するため」という目的があり、その上位に「同じ服を長く着続けるため」という目的があると考えることができます。

つまり、バリューグラフを使うことで、ヘルスケアにはファッションも関連する要素であると認識できるため、ヘルスケア=病気の予防(健康維持)と認識している場合と比較して、検討するアイデアの幅を広げることができるということです。

これが、事業領域の幅を広げるポイントです。検討したい領域には実は〇〇という目的も含まれるという分析を行うことで、表面的には考えられない部分も含めた多角的な検討に繋がります。

また、バリューグラフにおける上位の目的に対する代替手段は、対象とする事業領域や製品と競合関係になる可能性があるソリューションであるということを意味します。

例えば、「同じ服を長く着続けるため」の代替手段として「サイズ調整が可能な洋服」を設定した場合、その洋服とヘルスケア製品は同じ目的を達成するための手段であると見なすことができるため、領域が異なっても競合する可能性があると考えられるということです。

まとめ

バリューグラフは、「なぜ?」と「どのように?」を問うことでアイデアやコンセプト、事業テーマの幅を広げる手法です。今回は、事業領域に対する認識を広げる手法として提示しましたが、それ以外の使い方(他者が気づいていない、分かっていない課題を特定するなど)も考えられます。構造としてはとてもシンプルな一方、使いこなせば強力な効果を発揮するので、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか?

【参考文献】
・目的の目的は本質です!【トレンド図解】『バリューグラフ』
https://www.zukai.site/entry/2019/05/05/192544

・バリューグラフによるアイデア創成
https://note.com/cider00/n/n6d763d3fc085

・『システム×デザイン思考で世界を変える』前野隆司編著 日経BP
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/14/P49940/

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