グロースハックに活かせるフレームワーク『AARRRモデル』とは?
サービスの成長戦術として「グロースハック」が有名ですが、同じ文脈で知られているフレームワークが「AARRRモデル」です。
「AARRRモデル」はサービスを5つの成長段階に分けて可視化するのが特徴で、サービス成長のための改善やWEBマーケティング実践において大変有効なツールと言われています。
本記事では、AARRRモデルの概要や活用メリット、各ステップについてご紹介します。
Contents
AARRRモデルとは
はじめに、AARRRモデルの概要、AARRRモデルとグロースハックの関係について紹介します。
(1)AARRRモデルの概要
AARRRモデルとは、ベンチャーキャピタル500 Startupsの創業者であるDave McClure(デイブ・マクルーア)氏によって提唱されたフレームワークで、サービスの成長戦略として用いられています。
名称の「AARRR」(「アー」と読みます)は、Acquisition、Activation、Retention、Referral、Revenueの5つの英単語の頭文字から成っており、ユーザー獲得から収益化までのサービスの各段階を指しています。
Acquisition | ユーザー獲得 |
Activation | 利用開始 |
Retention | 継続利用 |
Referral | 紹介 |
Revenue | 収益化 |
各段階が意味するところについては、指標や施策とともに後ほど説明します。
(2)AARRRモデルとグロースハック
AARRRモデルはグロースハックに活かせるフレームワークとして知られています。
グロースハックとは、サービスやプロダクトに関する様々なデータを収集・分析し、機能や設計、施策の改善を高速で繰り返すことで、飛躍的な成長を狙う手法です。
AARRRモデルでは基本的に「ユーザーを集め、サービスを実際に利用してもらい、リピーターになってもらい、紹介を通じて広げ、収益を最大化する」というステップで構成されますが、グロースハックも似たような流れで行われることが多くあります。
また成長段階ごとに、適切な指標を用い、改善していくという観点でもAARRRモデルとグロースハックには共通点があり、相性が良いといえます。
AARRRモデルの活用メリット
では、「AARRRモデル」をフレームワークとして活用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。AARRRの活用メリットとしては、以下が挙げられます。
- サービスの成長段階を可視化することで、計画的なマーケティング戦略を練ることができる
- 注目しがちな「ユーザー獲得」のみならず、各成長段階を抜けもれなく、定量的に把握・分析できる
- 成長段階ごとの課題が明確になり、改善・発展に向けた施策が立てやすくなる
AARRRモデルの各ステップ
続いて、AARRRモデルの各成長段階(ステップ)の内容についてです。AARRRを枠組みに据え、各ステップの「指標(KPI)」や「施策」を定めていく必要があるため、それらも含めて説明していきます。
Acquisition:ユーザー獲得
Acquisitionは「アクイジション」と読み、新規のユーザー獲得を意味します。
AARRRモデルの最初のステップであり、次のActivationに繋がるユーザーの比率が指標として重要視されます。他にはサイト訪問数、会員登録数なども参考になります。
指標を高めるための施策としては、SEO対策や会員登録のメリット提示などが挙げられます。
Activation:利用開始
Activationはサービスの利用開始段階を対象とするステップです。
ここでは、新規ユーザーの離脱を防いだり、アクティブユーザーを増やしたりするためにユーザーの主体的な行動を定量的に評価します。
施策としては、初回体験の最適化、UI・UXの向上などがあります。
Retention:継続利用
Retentionはサービスがどれくらい継続利用されているかを確認するステップです。
このステップでは、ユーザーが一定の頻度に継続して利用してもらうための設計や、休眠しているユーザーに再度利用してもらうことが重要です。指標としては再訪率や訪問頻度が参考になります。
施策は、プッシュ機能やキャンペーン実施などがあります。
【Twitterの事例】
現在は3億人以上ものユーザーを抱える巨大SNS「Twitter」は、Retentionステップでの改善を行い、グロースを成功させました。
初期のTwitterでは、獲得したユーザー離脱が多く、定着率の改善が課題になっていました。
当初はホーム画面に様々な情報を記載していましたが、煩わしさをなくすために、情報量を絞り込み、シンプルにしました。
またデータ分析を実施し、「Twitterに登録した日にフォローした人数が4人以下のユーザーは離脱率が比較的高く、フォローした人数が5~10人以上の場合は定着率が高い」ことに気づきました。改善策として、新規ユーザーへの「おすすめユーザー」機能を実装。
これらの施策によってユーザーの定着率が大幅に改善され、その後の成功につながりました。
Referral:紹介
Referralは既存ユーザーに対し、新規ユーザーを紹介/誘導することを目指すステップです。
ここでは既存ユーザーのサービスに対する満足度の高さや、紹介することのメリット提示が重要です。レビュー数やSNSへの投稿数が指標として参考になります。
施策としては、紹介者へのポイント還元やシェア機能の実装・改善などが挙げられます。
【Dropboxの事例】
Referralでのグロースを成功させた例としては、オンラインストレージを提供する「Dropbox」の事例が知られています。
Dropboxは会員数の増加をねらい、FacebookやTwitterと連携してくれた場合に、インセンティブとして容量125MBをあげました。また、友人招待に対しては特典をつけ、既存ユーザーによる紹介を促進しました。
これらの施策が功を奏し、会員数が飛躍的に増加、シェアの獲得に成功しました。
Revenue:収益化
Revenueは、これまでのステップを受け、収益化を実現するステップです。
多くの場合、このステップをコンバージョンの単位と位置づけ、収益の最大化を目指すことになりますが、各ステップに対して詳細な分析と最適化を行うことがポイントです。
また有料会員と無料会員の差別化や適切な価格設定も重要であるため、これらも良く検討する必要があります。
まとめ
AARRRモデルは、ユーザー獲得から収益化までのサービスの5段階を示したフレーワワークです。「AARRRモデルの各ステップ」で紹介したように具体的な指標や施策を策定し、仮設検証を高速で繰り返していくことで、サービス成長やWEBマーケティングにおいて大きな成果をあげることが可能となります。
またこちらのサイト(https://ferret-plus.com/298)では、AARRRモデルのテンプレートがダウンロードできますので、必要に応じて活用してみてはいかがでしょうか。
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