【PSF】新規事業におけるソリューション検証の方法を解説

Contents
ソリューション検証の具体例〜家事代行サービスの事例〜
ある企業の新規事業開発担当者として、「家事代行サービス」の新規事業開発をする状況を想定して、ソリューション検証の実施方法を具体的に把握しましょう。具体例を通して理解することで、自社でソリューション検証する際の参考になります。
①PSF達成の基準設定
前提として、CPFフェーズにおいて「夫婦共働きの世帯は、お互い家事をする時間がなく、家が綺麗にならないことにストレスを抱えている」という課題が確認できているとします。そこで、「お金を支払ってでも、家事代行サービスを使いたいと思う人が、ヒアリングした全対象者のうち70%以上いる」という、達成したい基準を設定します。
②検証方法設計
①で設定した基準を満たすことできるかを検証するための方法を設計します。
1.プロトタイプの検討
今回はwebアプリでのサービス提供を想定しています。ソリューションにどのような要件があれば課題解決に繋がるのかがある程度固まっており、「現時点の解決策の確からしさ」が高いため、ワイヤーフレーム・モックアップ・機能試作が候補になりました。
2.ヒアリング方法の検討
ソリューションの要件がある程度固まっており、サービスについての細かいフィードバックが欲しいと思っているため、定性調査におけるデプスインタビューが候補になりました。
3.制約の検討/選択肢の絞り込み/プロトタイプの制作
プロトタイプに関しては候補が3つあるため、どれにすべきかを制約をもとに検討する必要があります。今回の制約は以下であるとします。
検証期間:経営陣への報告まで3ヶ月を切っており、検証期間が短い
予算:検証にかけられる予算はほとんどない
スキル:インタビューを実施したことのある経験者がメンバーにいる
上記のような制約を踏まえた結果、今回のワイヤーフレームはパワーポイントで作成可能なワイヤーフレームを使って、デプスインタビューを行うこととしました。
4.ヒアリング項目の作成
プロトタイプを使って聞きたいことをヒアリング項目として整理しました。特に「自分でもできる家事だが、どのようなサービスなら、お金を支払ってでも使いたくなるのか」を確認したいので、それを確認するための質問項目を整理しました。
5.ヒアリングのアポ獲得
今回のメインターゲットである「夫婦共働きの世帯」にヒアリングをすべく、社内の同僚に対してそのような知人を紹介してくれないか呼びかけました。その結果、10世帯がインタビューに協力してくれることになりました。
③ヒアリング実施
まずは10世帯中5世帯と日程調整し、オンラインにてインタビューを実施しました。
④ヒアリング結果確認/ソリューション改善
5世帯中、お金を支払ってでも家事代行サービスを使いたいと思う世帯は1世帯、つまり20%のみでした。残りの4世帯(80%)に関しては、「知らない人が家に来るのが怖いので、このサービスを使いたくない」という理由から、お金を支払ってまでサービスを使いたくないとのことでした。そのフィードバックを踏まえ、今度はワイヤーフレームの中に、家事代行する担当者のパーソナルな情報を紹介するページを作ってみることでプロトタイプの改善を試みました。
⑤再度検証
ワイヤーフレームを改善し、10世帯中のまだインタビューをしていない5世帯に対して新たなプロトタイプを使ってヒアリングをしました。その結果、依然として設定した基準「お金を支払ってでも、家事代行サービスを使いたいと思う人が、ヒアリングした全対象者のうち70%以上いる」という、PSF達成の基準を満たすことができませんでした。一方、ヒアリング対象者に対してソリューションに関する質問をすることで、新たなフィードバックを得ることができました。こうしてさらなる改善を繰り返し、実際に事業化判断ができるまで改善のサイクルを回します。
まとめ
新規事業開発のPSFフェーズにおける、ソリューション検証の目的・方法・具体例について解説しました。もちろん、記載内容はあくまでも一例であり、個別具体の状況に合わせて柔軟に検証方法を変えていく必要があります。一方、基本の型を身につけておくことで、適切なソリューション検証を実施できることに繋がります。PSFフェーズにおけるソリューション検証の際は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
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