カスタマージャーニーマップとは?エンパシーマップ、ペルソナデザインなどの必要要素と共に解説

今回は新規事業開発におけるカスタマージャーニーマップに関しての実践的なノウハウを、事例をもとにご説明していきます。カスタマージャーニーマップに関しては、マーケティングの利用事例としてご存知の方も多いと思います。
新規事業開発でも初期段階からカスタマージャーニーマップを作成し、継続的にアップデートを行っていくことにより事業案が磨かれていきますので、ぜひ新規事業開発の最初の段階から作成しましょう。
カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーマップに必要な要素
まずはカスタマージャーニーマップに必要な要素について、Batteryの他の記事を踏まえながらご紹介していきます。
ペルソナデザイン
カスタマージャーニーマップを作成するにあたり、必ず必要となるのが「ペルソナ」です。誰がカスタマーがわからないことにはジャーニー(行動)が想定できないため、記事を参考にして初版を簡単に作成してみましょう。
共感(エンパシー)マップ
次に必要な項目は共感マップです。顧客がなにを課題と感じているのかを理解するため、ペルソナを設定したのちに作成します。以下の記事を参考に、共感マップを作成していきましょう。
カスタマージャーニーマップとはなにか、なぜ必要なのか
さて、いよいよカスタマージャーニーマップ作成の具体的なお話に入っていきたいと思います。カスタマージャーニーマップはなぜ必要なのか、主に4つの目的があると言われています。

ストーリーの描写
カスタマージャーニーマップを作成することで、ペルソナがどういった行動をとるのかが可視化されます。可視化されることで、理解が深まりその詳細な描写により新しい気付きを得ることもあるでしょう。見逃していた事実を発見し、より精度・解像度をあげていくことができます。
共通言語化
カスタマージャーニーマップは1人ではなく、メンバー全員で制作することでより精度があがります。ペルソナがなぜこのような行動をとるのか、ペルソナはなにを思っているのかを言語化していくことでメンバー間の共通理解が深まります。
特定行動に対する考察
ペルソナの行動を元に考察を行うことも大切です。特定の行動に対して、それはなぜ行われたのか、どのような感情なのか、なぜ課題なのかを検証することも可能です。
上記の目的を達成するためのポイントもご紹介します。
多数の視点導入
メンバーそれぞれが立場の違いから様々な考察を入れることで精度があがり、カスタマージャーニーマップの質がよくなります。1人だと見逃していた事実も他のメンバーの視点の追加により明らかになるでしょう。
以上がカスタマージャーニーマップを作成する目的とポイントです。
カスタマージャーニーマップを新規事業開発の初期の段階で作成することで、検証を繰り返し、精度を高めることが可能です。新規事業開発には、アイデア創出の段階、プロトタイピングの段階、MVP開発の段階などカスタマージャーニーマップが必要なタイミングが都度発生します。各段階において、カスタマージャーニーマップをアップデートしていきながら、よりよいプロダクトを作っていきましょう。
カスタマージャーニーマップ作成の手順
それではいよいよ制作に入ります。手順をご紹介した後に事例を元に解説していきます。
- ペルソナの確認
- ペルソナの目標を考える
- ステップを書き出す
- 詳細な行動を書き出す
- 行動の裏にある思考を書き出す
- 顧客接点(タッチポイント)を書き出す
- 感情を書き出す
- 現状の課題点を書き出す
マッピング時のポイント
マッピングはメンバー全員で行うのが理想です。それぞれが書き込んだり考えたりする内容をもとに制作していきます。ペルソナの思考や感情などを書き出す際には、付箋などを活用してホワイトボードに貼り付けて検討するのがよいでしょう。
カスタマージャーニーマップは一回作成したら完了ということはなく、継続的にアップデートを行うので、1回の作成で100点レベルの完成度を目指す必要はありません。完全なものが出来上がることはなく、プロダクトのフェーズによって時間とともに磨き込んでいくためです。また、カスタマージャーニーマップを更新していくことで、ペルソナや共感マップもアップデートされることもあります。その際には、必ずアップデートしてよりよいものを作成していきましょう。
※参照 RooMooN株式会社 「若年層女性の飲食店利用に関する調査」
ペルソナの確認
このジャーニーのペルソナは以下の要素を持っています。
- 10代後半~20代前半
- 女性
- 女子会をする
- WEBを活用して飲食店を利用する
本来はもう少し詳細(価値観、生活スタイルなど)を記入しますが、今回はカスタマージャーニーなので表現していません。ただ、思考や感情を記入しているので裏側ではしっかりと設定されていることがわかります。ペルソナを設定しておかないと思考や感情、課題が記入できないためペルソナは重要なのです。
ペルソナの目標を考える
- 女子会で利用する飲食店の予約
カスタマージャーニーを考える上で目的・目標は必須です。ペルソナの目標を決めないと行動を設定することができないためです。ペルソナの目標は予約になりますが、サービス提供者側は再来店(提供者側の目的)までを設計し、繰り返し予約をしてもらう設計にしなければなりません。
ステップを書き出す
例として、Instagramだけでステップを記載します。
- 認知
- 興味関心・比較検討
- 予約
- 来店
- 再来店
2でも記入しましたが、ペルソナの目標は予約ですがサービス提供者は再来店が目的となり顧客のLTVを高める設計が必要です。こちらのカスタマージャーニーマップでは5つのステップとなります。
4.5は画像をご参考ください。
行動の裏には思考があります。思考を理解することでなにを求めているのかがわかります。サービスを提供するときに重要なポイントです。
顧客接点(タッチポイント)を書き出す
今回例では、Instagram、グルメサイト、Google Mapsとなっております。カスタマーとの接点をリスト化しましょう。
感情を書き出す
感情は浮き沈みがあります。ステップごとにどういった感情があるのかを想定して、カスタマーの感情を理解しましょう。チーム全体で共有することでステップごとの改善につながります。
- 認知
もっとお店の情報を知りたい / 口コミをみてみたい - 興味関心・比較検討
内装が好み / インスタ映えしそう / インスタ、口コミの投稿数が多いから期待 / 口コミがよくない - 予約
雰囲気いいお店だといいな / メニューが気になる / 味が気になる / インスタ映えするといいな - 来店
おいしかった、コスパよかった / 居心地よかった / 接客がよかった / 写真、口コミと違った / また行きたい - 再来店
また来てよかった / 今回はイマイチ / お気に入りのメニューがなくなった / 今回のメニューは失敗だった
現状の課題点を書き出す
7までで書いたカスタマージャーニーマップによって見えてきた課題、ステップごとの課題を記入します。その課題を解決することで次のステップに移れます。課題は常に発見されていきますので、他の項目もそうですが常にアップデートする必要があります。
- 認知
SNSの発信がないと見つかりにくい - 興味関心・比較検討
インスタの投稿数が少ないと違和感 - 予約
予約手段が複数あるかどうか / レスポンスの速さ - 来店
接客・サービスの丁寧さ - 再来店
お店の最新情報がSNSで随時発信してほしい
作成のコツ
感情と思考の違いを書き分ける
感情と思考をなぜ分けるのか、理由はいくつかありますが、一番大きいのは、ユーザーの課題を見つけることです。思考することにより感情が変化します。ユーザーが次のステップに進むとき、思考を元に進みますが、その思考の過程において感情が変化します。ポジティブな感情で次のステップに変化すればいいですが、ネガティブな感情で次のステップに進む場合、そこに課題が隠れている可能性があります。その違いを生むためにも、感情と思考を分ける必要があるのです。
各ステップの中での行動は時系列に書くのか
まずは時系列で考えていきましょう。ペルソナの行動を予測して時系列で追いかけてみる。その次に、目的達成から時系列を遡る。この繰り返しでカスタマージャーニーマップもアップデートされていきます。ステップや内容の中でスムーズに行かないところは、自分たちが考えきれていないか、もしくは課題があることもあります。
ペルソナの選択によってステップの中での行動が変わる場合
カスタマージャーニーマップにはステップによって行動が変わる場合ももちろんあります。基本的には一本道を記載し、それ以外に関しては、目的達成がプロダクトの範囲内であれば記載すればよいですが、範囲外の場合にはユーザーは離脱していることになるので記載しなくて良いでしょう。
あくまでも、ユーザーが目的を達成するためのジャーニーマップとして、筋の通った強い一本道を作りましょう。
課題とは、ユーザーの目標に対する課題か、提供者の目的に対する課題か
カスタマージャーニーマップにおいては、基本的には、ユーザーの目的達成において記載していきますが、当然プロダクト提供側の目的達成と合致していなければなりません。例えば提供者側の最終目的が、ユーザーの継続的な来店などの場合には、ユーザーの最終目的も継続的な来店においてカスタマージャーニーマップを作成する必要があります。
様々な手法がありますが、頭の片隅において例題を作成してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、カスタマージャーニーマップに関して、具体的な作成方法について記載させていただきました。マーケティングにおいて活用することの多い、カスタマージャーニーマップやペルソナですが、新規事業開発においても活用の場面は多数存在します。ぜひ新規事業開発、プロダクト開発にお役立てください。
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