ファンマーケティングとは?成功事例と成功のための4つのポイントを解説

「1:5の法則」によると、新規顧客の獲得は、既存顧客の5倍のコストがかかると言われています。そのため、近年では新規顧客の獲得よりも、既存顧客をファン化させ、継続利用率を向上させることの重要性が増しています。
ファンマーケティングでは、既存顧客をファン化させることで、中長期的に安定した売上基盤を構築する事ができ、熱狂的なファンの口コミやSNS配信によって、新規顧客の獲得をコストをかけず行う事が可能です。
今回は、ファンマーケティングのメリットとともに、成功させるポイントと具体的な施策や事例を紹介します。
Contents
ファンマーケティングとは?
ファンマーケティングとは、製品・サービスに対し、熱狂的なファンを増やしていくことで、中長期的に売上を拡大させていくマーケティングの手法です。
従来のマーケティング手法は、TVなどのマスメディアを中心としたアプローチが主流でした。しかし、スマートフォンの普及により、ファンによる口コミやSNSによる拡散によって、顧客を獲得する事が可能となり、中長期的にファンを増やしていくファンマーケティングに注目が集まっています。
ファンマーケティングの4つのメリット
成熟市場でも、熱狂的なファンの獲得によって安定した売上基盤を築くことができる
成長段階の市場では品質や機能によって差別化を実現することが可能です。
一方、成熟市場では、企業が技術競争を繰り返した事で、品質や機能での差別化は難しくなり、消費者は商品やサービスの価格によって購入を判断します。その結果、成熟市場では、提供者同士の価格競争になりやすく、商品の価格が低下し、利益が縮小します。
高価格であっても商品やサービスに愛着を感じて、購入をする熱狂的なファンを多く抱えている企業は、成熟市場でも高い利益率を維持する事ができます。そのためファンマーケティングにより、熱狂的な顧客を増やすことで、持続的な競争優位性を持ち、安定した売上の基盤を築くことができます。
- 口コミやSNSの拡散による新規顧客の獲得
熱狂的なファンは、口コミやSNSなどによって、商品やサービスの魅力を自ら発信する傾向があります。また現在、スマートフォンの普及により、商品を購入する前に、SNSや口コミで、商品やサービスの品質を確認するユーザーが増加しています。
そのため、熱狂的なファンを獲得し、ファンからの口コミやSNS配信によって、新規顧客の獲得ができるファンマーケティングは費用対効果の観点からも注目を集めています。
- 良質なフィードバック
商品やサービスを頻繁に利用するファンは、企業側が気づいていない商品やサービスの改善部分に気づいている可能性が高いです。
ファンマーケティングのメリットとして、ファンの意見やリアクションを商品・サービスに取り入れ、反映できるという点が挙げられます。ファンのリアルな意見を取り入れて商品・サービスを改善していくことで、購買意欲を持続させる効果もあります。
- ファン同士が情報交換してくれる
熱狂的なファンは主体的に発信を行う傾向にあるので、ファン同士が交流できるコミュニティーでは、熱狂的なファンがカスタマーサポートの役割を自主的に担ってくれます。熱狂的なファンが、他の既存顧客や新規顧客の疑問点に回答することで、クレームの防止につながります。
そのため、ファンマーケティングにより、熱狂的なファンを育成することによって、カスタマーサポートのコストを削減することにも繫がります。
ファンマーケティングを成功させる3つのポイント
顧客をファン化させるには、顧客の「共感」「愛着」「信頼」の3つを強めることがポイントです。
- 共感
顧客に共感していただくためには、商品やサービス、ブランドの独自価値を明確化させ、顧客に伝える必要があります。熱狂的なファンの声を聞くことで、商品やサービス、ブランドの独自の価値に気づくことができ、商品の価値を向上させ伝えることができます。
また、SNSやブログでファンの声を伝えることでユーザーの商品やサービスを購入する際の不安を払拭することができます。
- 愛着
商品やサービス、ブランドに愛着をもってもらうためには、ストーリーを伝えることが重要です。特に泥臭い試行錯誤の上、開発された商品やサービスは、ストーリーを伝えることで、ファンから愛着をもっていただきやすいです。
また、商品やサービスを気軽に体験する機会を提供することも、ユーザーにブランドの愛着を持ってもらうための手段としては効果的です。
- 信頼
制作過程や製造工程など細部までの情報を開示し、ユーザーに見てもらうことで、商品やサービスに対して高い信頼を勝ち取ることにつながります。また制作過程や製造工程などの情報以外にも開発者や製作者、工場や研究所などの情報を開示することで、より信頼を得ることができます。
また、目先の利益を優先し、ファンに対し不誠実に対応してしまった場合、ファンから信頼を得ることが難しくなってしまうため、特にトラブルなどが発生した際などは、誠実な対応を徹底する事が重要です。
ファンマーケティングに効果的な4つの施策
ファンマーケティングの効果的な施策は下記の4つです。
- ファンが集まるコミュニティの構築
- SNSの活用
- ライブ配信の活用
- クラウドファンディングの活用
1. ファンが集まるコミュニティの構築
▼ファンマーケティングにおいてコミュニティの構築を行うメリット
- 販売機会の拡大
- LTVの最大化
- 良質なフィードバック
販売機会の拡大
現在、企業側が発信する広告などの情報よりも、商品やサービスを利用された方の評価を重視し、商品やサービスの購入を決断するユーザーが増加しています。そのため、コミュニティを構築し、ファン同士での交流を促すことで、販売機会を広げることができます。
LTVの最大化
コミュニティは、商品やサービスを肯定的に考えている顧客が属していますが、商品やサービスに対する理解度や活動頻度は、ユーザーごとに異なります。
コミュニティを構築することで、ファン同士の情報交換を促し、商品やサービスの理解度を深めることで、より顧客の活用機会を増加させることができ、商品に対する愛着を強め、LTVを最大化させる事ができます。
良質なフィードバック
コミュニティを構築することで、より簡単に顧客の生の声を収集することができ、商品やサービスに顧客の意見を反映させやすくなります。
顧客の意見を商品やサービスに反映すると、ユーザーのロイヤリティを高めることにも繫がり、より自発的に商品やサービスをPRするだけではなく、良質なフィードバックを発信します。
また、一部の顧客のみが参加できる運営者とのファンミーティングを開催することで、熱狂的なファンのエンゲージメントをより高めることができ、効率的に良質なフィードバックを収集する事ができます。
2. SNSの活用
▼ファンマーケティングにおいてSNS配信を行うメリット
- 顧客との接点を増やす
- 商品コンセプトや特徴を伝える
顧客との接点を増やす
価値観が多様化している現代では、特定のチャネルに顧客が集まっていないため、複数のタッチポイントを設ける必要があります。そのため、TwitterやInstagram、Facebookなど、複数のSNSでアカウントを開設することで、顧客の接点を増やすことを推奨します。
商品コンセプトや特徴を伝える
顧客のエンゲージメントを高める上で、商品やサービスのコンセプトや独自の価値を伝えることは非常に重要です。商品の販売だけではなく、商品やサービスのコンセプトやブランドの歴史をSNSで頻繁に発信することで、ブランドに対して、ファンに共感や愛着を感じてもらうことができます。
3. ライブ配信の活用
▼ファンマーケティングにおいてライブ配信を行うメリット
- 顧客からの疑問を解消しやすい
- 顧客との信頼関係の醸成に繋がる
顧客からの疑問を解消しやすい
ライブ配信ではファンと密なコミュニケーションを取ることで、より商品やサービス、ブランドに対する愛着をもってもらえますが、ライブ配信では、商品やサービスに対する疑問に直接回答することができ、視聴者の反応を確認しながら商品の紹介ができるため、消費者も納得感をもって商品を購入する事ができます。
顧客との信頼関係の醸成に繋がる
ライブ配信では、顧客の反応にあわせて、商品の紹介をする事ができるため、顧客との信頼関係を構築しやすいです。そのため、企業と顧客の信頼関係の醸成に繫がり、顧客のファン化を促進することができます。
4. クラウドファンディングの活用
▼ファンマーケティングにおいてクラウドファンディングを活用するメリット
- リスクを抑えて質の高いフィードバックを得られる
- 将来的に熱狂的なファンになりうるユーザー情報の収集
- 商品やサービスのブランディング
リスクを抑えて質の高いフィードバックを得られる
クラウドファンディングでは、市場に出す前の新商品や新サービスの販売を行うことができます。そのため、新商品や新サービスに対するユーザーの意見を集めることができ、実際に市場に商品やサービスを販売した際の反応を確認することができます。
またクラウドファンディングには、目標金額を設定し、その目標金額に達した場合のみ、プロジェクトの着手を行うAll-or-Nothing方式という販売方法があります。そのため、企画段階のイベントや商品を、プロジェクトとして掲載する事ができ、低リスクで市場の反応を確認しながら資金を調達する事が可能です。
将来的に熱狂的なファンになりうるユーザー情報を収集
クラウドファンディングでは、商品やサービス自体の価値だけではなく、プロジェクトのストーリーや背景も考慮し、商品やサービスの購入を決断する方が多いです。またプロジェクトに共感したユーザーや既存の熱狂的なファンは、主体的にSNSで発信し、多くの方にプロジェクトの共感を促してもらえるケースもあります。
クラウドファンディングサイトでプロジェクトを立ち上げることで、自社商品やブランドに共感したユーザー情報を獲得することができ、そのようなユーザーに対し、プロジェクト終了後、手厚いサポートや情報発信を行うことで、自社商品やブランドに愛着を持っていただける可能性が高くなります。
商品やサービスのブランディング
現在、商品やサービスを購入する際に、商品やサービスの情報を事前に確認するユーザーが増加しています。
クラウドファンディングでは、ユーザーから集めた資金の合計金額や支援者数が表示されているため、商品やサービスの人気や評価が可視化されています。そのため、クラウドファンディング終了後も自社ホームページなどにプロジェクト実績を掲載することで、顧客に対し商品やサービスの購入を促すことができます。
ファンマーケティングの成功事例
株式会社MAPPA

引用:片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援
アニメーション制作会社である株式会社MAPPAとプロデュース会社の株式会社ジェンコ、映画監督である片渕監督は、「この世界の片隅に」の劇場版アニメ化を目的に、クラウドファンディングサイトでプロジェクトを立ち上げました。
プロジェクトページには、作品に対する制作者の想いや、制作過程であるシナリオ・絵コンテなどの情報を載せることで、ユーザーの共感や信頼を得ることに成功しています。
資金提供されたユーザーの方には「制作支援メンバーミーティングの参加権利」などのリターンが用意されていました。制作支援メンバーミーティングに参加された方は、一般のマスコミよりも早いタイミングで、作品の進捗状況を知ることができ、作品に対する愛着が強まります。
また、実際に制作支援メンバーミーティングで知った情報は、SNSやブログで発信することができるため、コアファンのSNS配信や口コミによって、新規顧客の獲得を実現しました。
最終的には、クラウドファンディングを通じて、ファンとの共創を実現することで、ファンを獲得することにつながり、映画公開のための資金を約3,900万円ほど調達に成功しています。
株式会社アニメイト

引用:『I★CHU PROJECT』メインストーリー完結企画!
株式会社アニメイトは、自社で「ソレオス」というクラウドファンディングサイトを運営しています。ソレオスでは、クラウドファンディングの仕組みを活用し、資金を調達することによって、今までファンに提供できなかったサービスの開発やイベントを開催することができます。
例えば、『I★CHU PROJECT』では、未完のままになっているゲームアプリのメインストーリーを、新しく小説として完結を目指すプロジェクトを立ち上げました。
本プロジェクトでは達成金額が増えるごとに新規のリターンを増やすなど、運営者とユーザーが一緒に盛り上がながらプロジェクトを共創する仕組みが整えられており、サービスに対して愛着をもたせることに成功しています。
運営会社のアニメイト社としても自社でクラウドファンディングサイトを運営することで、アニメ情報サイト「アニメイトタイムズ 」や、自社で運営する店舗との連携、アニメイト会員に対してのメルマガ配信と密な連携を行うことができ、包括的に既存顧客のニーズに対応することで、既存顧客のファン化を促進する取り組みを行っています。
まとめ
今回はファンマーケティングに関して詳しく紹介しました。既存顧客をファン化させることで中長期的に安定した売上基盤を構築する事ができるので、今回の記事を参考に、是非ファンマーケティングを積極的に行ってみてください。
これからファンマーケティングを実施される方に本記事が少しでも参考になれば幸いです。ファンマーケティング以外のマーケティング戦略を知りたい方は下記の記事もご一読ください。
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