2023.12.7

ブランドマーケティングとは?事例とともに徹底解説

ブランドマーケティングとは?事例とともに徹底解説

数あるマーケティング戦略の一つに当たるブランドマーケティング。

企業や商品、サービスのイメージにあたるブランドに対して、顧客にとっての価値を高め、好印象を抱いてもらうための施策です。

ブランディングはマーケティング戦略の1つです。しかし、キャンペーンや施策によっては、ブランディングを前提に行おうとしていたにもかかわらず、結果として単純に商品やサービスを売ることのみに注力してしまう場合があります。

そこで今回は、ブランドマーケティングについて詳しくご紹介していきたいと思います。

ブランドマーケティングとは?

一般的なマーケティング

マーケティングに関する研究はかなり前から行われています。”マーケティングの神様”と言われるフィリップコトラー氏の著書『マーケティング・マネジメント』の翻訳版が、日本で初めて出版されたのは1971年のことです。

コトラーはマーケティングを以下のように定義しています。

Marketing is the science and art of exploring, creating, and delivering value to satisfy the needs of a target market at a profit.  Marketing identifies unfulfilled needs and desires. It defines, measures and quantifies the size of the identified market and the profit potential. It pinpoints which segments the company is capable of serving best and it designs and promotes the appropriate products and services.

マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセスである。

具体的なマーケティング戦略は、その時代・市場によって異なりますが、いずれにせよ売買・物々交換に関係したマーケティングの幅広い概念に相当します。

価値の創造および交換のプロセスがマーケティングの礎であり、新たな価値を生み出してその対価を手にすることはあらゆるビジネスにおいて基本となっています。

ブランドマーケティングの場合

ブランドマーケティングの歴史は、”ブランドの父”と呼ばれるアーカー教授の著書『ブランド・エクイティ』の翻訳版が日本で初めて出版された1994年から始まります。しかし当初は明確な定義がなされておらず、あくまで「ブランディング=ブランドエクイティを創ること」という定義に終わっていました。

ブランドマーケティングとは、顧客に支持される価値を生み出すためにブランドの基本設計をしっかり行い、それを関係者で共有し一貫性を持って実行および評価する活動を指します。

近年マーケティング戦略の中でも特にブランドマーケティングの重要性が増しています。その背景には、従来の日本企業が行ってきたますマーケティングの行き詰まりがあり、情報化・知識社会化が加速度的に進む現代において、機能しづらくなってきています。

それに伴い、企業の意志や信念を見直し、顧客に対して価値のあるものを提供しながら、利益を取っていく戦略が必要となり、それがブランドマーケティングというわけです。

ブランドマーケティングの戦略アプローチについて

ブランドマーケティングの戦略アプローチは、業種や企業によってさまざまです。しかし、マーケティング戦略を図る上で、いくつか共通する部分もあります。

新しい価値の創造

世の中に存在していなかった機能や体験など、新しい価値を提供できることを指します。GoogleやiPhoneの開発および提供がその最たる例です。

いずれもそれまでの市場構造をある種破壊するイノベーションであり、ブランドマーケティングを突き詰めて究極の形に落とし込んだものと言えます。

マーケティングというよりか、技術開発の力が重要となることもありますが、新たなビジネスモデルの構築によって実現できる場合も多々あります。

選択軸の発掘

従来、自社・他社が行っておらず、市場が注目してこなかったニーズを探り当て、それに注力することです。朝専用の缶コーヒーや、ノンシリコンシャンプーなどが挙げられます。

缶コーヒー=朝という概念は今までなかったですし、シャンプーもシリコンかノンシリコンかという選択軸はありませんでした。両者とも市場における新しい選択軸を提示することでヒットにつながった事例と言えます。

心理的価値による差別化

製品やサービスの中身ではなく、印象やイメージなど、心理的な要素に基づいて顧客に選択してもらうアプローチを指します。

BtoCの場合、人気のある有名人を起用したテレビCMなどが挙げられます。BtoBの場合でも、営業マンの個性や企業としての信頼などが指標となり、競合他社を含んだ中から自社を採用してもらうためのアプローチが必要です。

一般的なマーケティングとブランドマーケティングの違い

上記では一般的なマーケティングとブランドマーケティングの定義を説明しました。
では、具体的に両者はどのような違いがあるのでしょうか。

発想の起点

マーケティングの場合、「自社の商品の特徴とは何か?」をまず考え、その特徴から何を抽出し価値を提供していくかという考え方を行います。

一方、ブランドマーケティングの場合、「生活者は何によって感情が揺さぶられるのだろうか?」という部分にフォーカスを当てます。

生活者にとって、何を実現したいか、より良いライフスタイルを送られるものとは何かが重要であり、商品やサービスを提供する企業はあくまでそれを支える存在でしかありません。

自社の商品の特徴を考えるよりも、生活者のことを第一に考えることで、顧客のニーズを図ることも可能となり、世の中に価値のあるモノを提供することができます。

生活者の捉え方

ブランドマーケティングは他のマーケティング以上に生活者のことを考えます。

他の商品よりも優れていることに重きを置くよりも、シンプルにその商品を好きになってもらうことに力を注いでいるのがブランドマーケティングです。

たとえば、アメリカのオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」は、決して燃費の良いバイクでもなければ、エンジン音も大きく高価格、スペックも他のバイクと比べるとそれほど高くはありません。しかし、熱狂的なファンが多い上、世界でも有名なバイクブランドとして地位を確立しています。

機能や実利的な価値の高さを優先されることももちろんありますが、自分の生活をより豊かなものにしてくれる”かっこよさ”に惚れる方も多くいます。そのため、ハーレーを乗り回すかっこいい自分でいたいと思わせるブランド力が十分に備わっており、ハーレーを持つことで今まで以上に豊かな自分でいられるという付加価値があるため、シンプルにハーレーを好きだと思わせる魅力によって人気は衰えていません。

市場の捉え方

顧客一人一人のニーズに合わせる考え方が一般化されている現代において、顕在ニーズはさほど発見しにくいものとなっています。しかし、一般的なマーケティングの場合、大抵はその顕在ニーズを見つけることに頭を働かせています。

ブランドマーケティングになると、顕在ニーズを探るよりも、顧客や開発者さえ気付いていなかった”潜在ニーズ”の部分に目を向け、商品やサービスにおけるさらなる価値観を生み出そうとします。少しでも早く潜在ニーズを発見し、より良いライフスタイルを提供できる市場を創り出していくことが重要となってきます。

プロモーションの捉え方

マスコミ4媒体が強かった時代から一変し、今やインターネット、ソーシャルメディア上で流れる情報も多大なる影響力を発揮しています。さまざまな情報が渦巻く社会において、他よりも商品の優位性を主張するためには、名前を覚えてもらうアプローチが必要ですが、今となってはそれも難しい状況です。

一方、ブランドマーケティングはこれまで紹介した通り、生活者の感情に訴えるものを形成していく取り組みが行われており、これら2つを掛け合わせた「感情に訴え、覚えさせる」という視点があります。

生活者との接点

商品やサービスのプロモーション積極的に行うのは悪いことではありません。しかし、多くの情報が行ったり来たりしている昨今において、ただ露出が多いだけでは他の情報に埋もれてしまうだけのパターンもあります。

そのため、生活者が見込み客となり、購入、リピート、ファン化に至るまでの流れを考え、その流れの中にある数々の接点を通じて、ブランドへの感情移入を形成する取り組みが必要です。

目指すゴール

どの企業でも目指すポイントとして共通しているのが、その市場において「最高」の価値を提供できることでしょう。競合他社よりも優れた最高の製品を開発および提供することは、企業にとっても生活者にとっても悪いことではありません。

ただし、最高を求めすぎていると、過剰品質にこだわる可能性が出てきます。

これまでライバルよりも最高品質をキープしていたのに、つい最近発売されたあの商品はうちのよりも高品質でスペックが高い!といった場合、それ以上の最高を求め改良しようと試みます。しかし、それによって従来よりも魅力や価値が軽減することもあり、最終的に自社のオリジナリティや生活者のニーズを損なう場合も出てきます。

そのため、最高を求める考え方は良いことでありながら、マイナスに働く場合もあるのです。

ブランドマーケティングでは、こうした最高を目指していながらも、生活者にとって「最愛」の価値があるモノを一番に目指しています。

ブランドマーケティングがもたらす利益

ブランドマーケティングを実践することにより、もたらす利益は主に以下の6つです。

  1. 競合企業との差別化
  2. 顧客の固定化
  3. 価格競争の回避
  4. 流通の取り扱い促進
  5. プロモーションコストの効率化
  6. 長期的利益の源泉

ブランドマーケティングを実践することにより、長期的に知名度を高め、多くの人からより強い感情移入を形作ることが可能です。これまでは多大なる広告宣伝費を費やさないと買ってもらえなかったという状態から、広告宣伝費を使わなくとも買ってもらえるという状況に変えることができます。

そのため、安定的な売上や継続的な利益を得られるようになり、企業として長期的な利益向上に寄与するのがブランドマーケティングです。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか。今回はブランドマーケティングについて解説しました。

ブランドマーケティングはマーケティング戦略の一つであり、顧客が感情移入できるような価値を提供し、より多くのリピーターを獲得していきます。それによって、競合他社との市場競争にも巻き込まれないために注力すべきマーケティングでもあります。

みなさんも自社の目指しているブランドイメージや商品・サービスの価値を見つめ直し、ブランドマーケティングにトライしてみてはいかがでしょうか。

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