市場投下を通じた検証とは
新規事業において、プロトタイプの種類は多く存在しますが、それに比例して、プロトタイプを用いたユーザーテストも多く存在します。
今回はその中でも、市場投下を通じた検証に焦点をあてて、その種類や進め方についてご紹介していきます。
※検証設計は「解決策検証における検証設計とプロトタイプの選定方法」に記載しているので、本記事では立ち上げまでの事前準備を主に記載します。
Contents
市場投下を通じた検証とは
市場投下を通じた検証の概要
- プロトタイプを不特定多数のユーザーに当ててみて反応を得るというもの
- 非公開での実施ではなく、商品に関する情報を世の中に公開している状態で実施する
実施タイミング
- 課題解決策としてのソリューションの有効性検証が完了していて、世の中に需要があるかを確認したい時
検証方法一覧
市場投下を通じた検証は、クラウドファンディング、展示会、LPテストがあります。
検証方法 | 概要 |
クラウドファンディング(toC) | ・インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれるエンドユーザーから資金を募る仕組み・途上国支援や商品開発、自伝本の制作など幅広いプロジェクトが実施・多くのプラットフォームが存在し、「新しい挑戦や商品を提示する場所」と一定数のユーザーに認識されているため、ECサイトなどと差別化できる |
展示会(toB) | ・メーカーや問屋が新製品の発表、既存商品の紹介を行い、興味を持った来場者を新規顧客として開拓することを主な目的として開催されるイベント・商材のテーマに沿って一度に多くの出展企業が集まる・展示会は一般消費者向けというより、企業や団体が顧客になる”BtoBの領域”において開催されることがほとんど・検討者と意思決定者が異なったり、経済合理性などが重視されることが多いので、エンドユーザーのように1人の判断で、気軽にネットで買うということがしづらい・特定の業種のカテゴリの集まる展示会への出店がスピードなどを考慮しても最適だと考えられる |
LPテスト | ・自前でサイトを構えて、まだ企画段階で商品が実在していないのに”購入申込”やそもそもリアルな場所があるなら”イベント告知”のかたちで内容を訴求 |
出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000049880.html
出典元:https://iotnews.jp/archives/163038
出典元:https://conversion-labo.jp/whatislp/
各検証の強み・弱み
クラウドファンディング、展示会、LPテストの強み、弱みについて説明します。
メリット | デメリット | |
クラウドファンディング | ・聞き取り調査などで「魅力的」と答えた人でも、実際にお金を払うかは別問題であるが、クラウドファンディングはお金を払ってでも買う人の需要を可視化できる・リアルな検証ができる・仮販売ができる・ニーズやターゲットセグメントが顕在化しているとリーチしやすい | ・リーチして届かなかったのか、届いたけどニーズがなかったのかが検証しづらい・手数料を支払わないといけない((サポーターからの調達合計額)x(手数料率:10-20%)=(運営サイトに支払う手数料)) |
展示会 | ・リアルな現場で対話を通じてフィードバックをもらえるので、得られる示唆が多い・具体的なターゲットリストが作れるようになるため、具体的な顧客候補が見つかる・色んな人がいるため、思わぬソリューション発見に繋がる | ・それなりにコストがかかる(絶対かかるのは出展料で、その相場は展示会・イベントによって異なるが、1小間30万円前後) |
LPテスト | ・プラットフォームのようにルールがほとんどないので、デザインや期間など自由に設定可能 | ・サイトを構えるだけでもランニングコストが発生するが、それに加えて何もしないと誰も流入しないため、広告などマーケティング施策を実施しないとならない・そもそも人が来ないリスクも高く、検証自体できないリスクが伴うため、自前で全て準備するのには限界があると考えられる |
実施の流れ
【クラウドファンディング】
①事前準備
クラウドファンディングをはじめるなら、プロジェクト公開予定日の1ヵ月前には事前準備をはじめる必要があります。
- 目的を明確にする
クラウドファンディングで「何を実現したいのか」を明確にする。起案者に強い目的意識がなければ、なかなか支援者は集まらない。単なるお金集めが目的だと思われないように十分注意する必要がある。
- 目標金額を決める
クラウドファンディングで調達する資金の目標金額を決める。目的の達成に必要な金額やサイト利用料、リターンにかかる費用などを考慮して、支援者にお願いする現実的な金額を洗い出す必要がある。ポイントは、最低限必要な金額を目標金額に設定する点にある。
資金のすべてをクラウドファンディングで調達するのではなく、自分では集められなかった不足分の支援をお願いするという謙虚な姿勢が大切。順調に目標を達成できるとは限らないため、「公開10日目までに30万円、20日目までに60万円」のように目標金額を段階的に設定。各段階で目標が達成できなかった場合に、イベント開催などのテコ入れ策が打ち出しやすくなる。
- 募集期間を決める
支援者を募集できる期間は、クラウドファンディングのサイトによって異なる。資金が必要となる日時が決まっている場合は、逆算して募集期間を設定。募集期間が長ければ支援者が多く集まるというわけではない。募集期間中にできそうな支援呼びかけのイベントなど具体的なプロモーションのスケジュールを立て、必要な期間を考える。
支援者が集まりそうな機会があるときは、なるべく募集期間と重なるように調整。プロジェクト公開後になかなか支援が集まらないと、サイトを見た人に「達成は難しそうだ」という印象を与えてしまう可能性がある。募集期間中も支援者獲得のためにできることはあるため、自分が集中して取り組める募集期間を設定。
- リターンを決める
リターンは、支援金額に応じて段階的に設定。支援しやすい価格帯は人によって異なるため、高価格帯も含め必ず複数の選択肢を用意。
1,000円、5,000円、1万円のように価格帯を適度にばらつかせると選びやすくなる。ただし、選択肢を増やしすぎるとリターン選びが面倒になって、途中でやめてしまう人も出てきますので要注意。
リターンの準備にはお金や手間がかかるため、目標金額はリターン分も加味して決める。商品開発を目的とするプロジェクトでは、開発した商品をリターンにする方法が一般的。寄付型では基本的にリターンを用意する必要がありませんが、お礼のメッセージや活動内容がわかる写真などを提供すると喜ばれる。
- クラウドファンディングサイトを決める
プロジェクトを公開するサイトを決めます。これまでサイトに掲載されているプロジェクトや、手数料、入金のタイミング、募集期間、メディア掲載の実績などにも注目して、商品に合ったサイトを選ぶ。
クラウドファンディングは準備期間も含めると、3カ月から半年近くかかる。サイトの選択は、その期間を並走するパートナーを選ぶということですので、納得いくまで考える。
②プロジェクト作成
事前準備が整ったら、実際にプロジェクトを作成。できるだけ多くの人の興味を引き、共感を得られる魅力的なページを作ります。
- プロジェクトの概要をまとめる
事前準備で明確にした内容を分かりやすく伝えるページを作成。特別なWebの知識がなくてもページ自体は作れるが、掲載する写真や動画はあらかじめ用意する。動物保護が目的なら動物の写真、地域応援なら特産品の写真など、具体的なイメージにつながるコンテンツを用意。
一方、プロジェクトを立ち上げた理由や提供できる価値、お金の使い道などを説明する文章も必要。身近な人に文章を読んでもらうと、分かりにくい部分や不足している要素を把握しやすくなる。応援したいと思ってもらうための大切なページだけに、独りよがりな表現や誤解を招く部分がないかどうかを何度も見直す。
- プロフィールを作成する
起案者のプロフィールは、支援を決めるうえで重要な判断材料になる。プロジェクトの内容に説得力を持たせるためにも、プロフィールを充実させる。起案者に共感して支援を決める人は少なくありません。
プロフィールには、自分やチームの自己紹介、経歴、写真、大切にしている価値観、普段どんなことに取り組んでいるのかなどを盛り込む。「この人なら信頼できる」と思ってもらえるようなプロフィールに仕上げる。
- SNS等で拡散する
クラウドファンディングではプロジェクト公開直後のスタートダッシュが成功を左右するといわれている。公開直後に支援者を確実に集めるためには、プロジェクト公開前の情報拡散が不可欠。
個人的な友人や知人、家族、興味を持ってくれそうな法人などに、「○日にクラウドファンディングでこんなプロジェクトをはじめるので見てほしい」と直接伝える。人が集まる機会を捉えてプロジェクトの説明をしたり、店舗にリーフレットを置いてもらったりする方法も有効。
SNSも積極的に利用して、自分とつながりがない人にも広くプロジェクトを知ってもらう。情報拡散をしない場合、支援の範囲がごく限られてしまう。
③スタート
支援をしてくれた人にも検討中の人にも、積極的な情報発信を続けます。
- こまめに活動報告をする
クラウドファンディングサイトには、活動報告や新着情報を登録できる機能がある。プロジェクトを公開したら、ちょっとしたことでも構いませんので、こまめに近況報告を行う。プロジェクトの進み具合を確認できるため、支援者やページ閲覧者の安心感が高まる。写真も併せて掲載すると説得力がアップする。以下で活動報告の具体例を紹介。
・店舗経営が目的の場合なら、内装工事が終わった、看板が完成した、など
・児童養護施設支援が目的の場合なら、ランドセル○個分が購入できる、子どもたちの食事代が○日分集まった、など
・メディア掲載の報告、メンバー紹介、リターンの詳しい説明、プロジェクト紹介ページに盛り込めなかったエピソード、など
- 企画やイベントを実施する
プロジェクト公開直後は支援が集まりやすい時期ですが、日数が経つにつれてページを閲覧する人は減っていく。再び注目を集めるためには、起爆剤的な企画やイベントの開催が必要。
ただし、クラウドファンディングに触れずにイベントを開催すると、支援をお願いした時点で興醒めしてしまう人も少なくない。案内する際にプロジェクトの内容や目的をきちんと説明して、共感してくれる人に参加してもらう。
公開前に支援を依頼した人に、再度丁寧なメッセージを送る方法も有効。活動報告も兼ねて、自分の決意を伝える。支援者自身にプロジェクトの発信者になってもらえれば、支援の輪が広がりやすくなる。
- 終了前に再度支援のお願いをする
プロジェクトの終了直前は、スタート直後と同様に支援が集まりやすい時期。終了まであと○日、目標達成まであと○円、達成率○%など、具体的な数値を入れて最後のお願いをする。ある程度支援が集まっている状態であれば、「もう少しで達成できるなら応援してあげたい」と思う人が現れるケースも珍しくない。
やるべきことがしっかりできていれば、ラストスパートで支援者を大きく増やせる可能性がある。最後まで諦めずにプロジェクトに集中して情報発信を続ける。
募集期間内に目標金額を達成した場合、継続して支援者を集められるシステムがある。起案者にデメリットはないため、上手に活用する。
④終了後
- 支援者への御礼
支援者に対してできるだけ早く御礼をする。報告がないと不安になる人もいるため、終了後はすみやかにコンタクトを取る。
活動内容の報告は、プロジェクト終了後もSNSやブログ、自社サイトなどで継続する。商品が完成した、お店がオープンしたなど、支援金で何ができたのかについて発信する。写真を掲載すればより効果的。信用が得られれば、その支援者はクラウドファンディングが終わってからも強力なサポーターとして応援してくれる。
- リターンを送る
商品開発目的のチャレンジでは、実際にリターンを渡せるまでに時間がかかる場合がある無用な疑いを招かないためにも、生産が始まった、最終テストが終了したなどの活動報告は定期的に発信する。
リターンが品物の場合は、荷作りや発送に手間がかかる。リターンの発送時期を決めるときにはその手間も考え、スムーズに送れるように事前にできる準備を進めておく。
- 支援金の受取手続き
支援金の受取方法は、サイトによって異なる。募集終了日を基準にして「月末締め翌月20日払い」のようなスタイルを採用しているケースが一般的。このルールで4月15日が終了日だった場合、入金されるのは5月20日。利用規約等に記載されていますので、必ず確認する。
支払日には、支援金から利用手数料を差し引いた金額が指定の口座に振り込まれる。入金された支援金には税金がかかる場合があるので、注意。
- 実施した結果と考察についての考え方
クラウドファンディングはお金を払ってでも買う人の需要を可視化できるため、どんな方々が購買してくれたかの分析を行う。また、リターンを送る際に、御礼のメッセージと共に「なぜ購入してくれたのか」「改善欲しい点があるか」などのユーザーの声を聞くアンケートを実施するといい。
【展示会】
①展示会の選定
- 関連キーワードを洗い出す
基本的に大小問わず、どんな業界でも展示会は存在する。自分たちが提供するサービスやプロダクトがどの業界に需要があるのか、紐付くのか、分析することが大事。そして、関連するキーワードと展示会という言葉でWebで検索することで、展示会の情報が出てくるので、気になる展示会を選定する。
- 質の高い来場者の有無
販路開拓やマーケティング・コミュニケーションが主要目的の展示会において、来場者の質は非常に重要。たとえ来場者が多い展示会であっても、単なる見物客やひまつぶし客が多数を占めていれば、出展の効果は非常に小さくなる。逆に、来場者がそれほど多くなくても、商談に意欲のある顧客が多ければ、有意義なものになる。このように、単に来場者数のみを見るのではなく、来場者の質を判断することはとても大事。
質の高い来場者の有無を見極める判断材料としては、展示会の知名度や過去の実績に加え、展示会会場の立地条件、開催時期の気候条件、景気動向なども影響する。
②具体的な展示会出展作業
- 展示コンセプトの設定
コンセプトの設定に際しては、以下のような点を考慮する。
・何を用いて説明するか(パネル、絵、映像など)
・実用的な説明ができるか
・予備や運用のための素材(電気やガスなど)は必要か
・どのくらいの空間が必要か
特に、商品やサービスの訴求方法(展示・プレゼン内容及び方法など)については、事前に念入りに検討を行う必要がある。
- 出展準備
コンセプトが決まると、その実行に向けた様々な準備に入る。その内容は多岐に渡るが、具体的な対応例を挙げると次のようなものがある。
・展示のデザイン設計、ブース構成内容の検討
展示コンセプトや展示するプロトタイプの特性等を考慮したうえで、展示のデザイン設計や構成内容の検討を行う。
・展示会用ガイドブック・パンフレット、Web サイトの作成
展示会にて配布するパンフレットやガイドブックの作成及び展示会用 Web サイトの作成を行う。日本語はもちろん、英語やターゲットとする国の言語のページの作成もできれば理想的。
・製品説明パネルの作成
展示する製品の内容を紹介するパネルの作成を行う。ガイドブック等と同様に、外国語の説明もあれば理想的。
・名刺の作成
なるべく多くの来場者に配付することを想定し、通常より多くの名刺を用意。この時にも、英語併記の名刺があれば理想的。
・顧客への出展案内・招待状送付
既存の顧客はもちろん、新たな顧客として期待する企業等に対しても、出典案内や招待状を送付。
・搬入・搬出の手配
主催者にスケジュール確認を行い、展示する製品の搬入及び搬出の計画及び手配を行う。
・説明員等の出張手配
展示会当日及びその前後における、説明員等の出張手配(宿泊、交通など)を行う。
・展示製品の準備
実際に展示する製品の手配等を行う。これらのことを短期間に行う必要があるため、計画性が問われる。準備をしっかりと行うことが、展示会出展の成功を左右する。
- ブース設計
主催者により展示会のブース空間が発表され割り当てが決まると、ブースの設計に入ることになる。詳細なブース計画を作成し、関連サプライヤーであるブース設計会社を選択し発注を行います。その後、設計会社によるプレゼンを行いながら、細部まで詰めていく。なお、ブースに求められる一般的な要件としては、次のことが挙げられる。
・インパクトがある-見せびらかしではなく
・控えめである -みすぼらしいものではなく
・心を奪う -押しつけではなく
・理性的である -傷つけることなく
・飾りつける -騒々しいものではなく
- ブースの運営計画
ブース設計が固まると、ブース内の運営計画を行う。人員面では、企業社員及びスタッフ(協力企業を含む)の配置を決め、チームとしての活動を開始。スタッフには、高いセールス能力を有する人、コミュニケーション・プレゼンテーション能力の高い人が適任。展示会当日までに接客応対や商品説明などのトレーニングを繰り返し、スタッフのスキルアップを図流。当日までに、展示品の搬入などを行い、ブースを完成させていく。また、並行して、資料類の準備・セットを行う。
③展示会対応
- ブース対応
ブース内においては、商品・製品の技術説明係、製品サービス等の情報提供係、ブース訪問者へのアンケート係など、各人の役割に応じて対応。なお、混雑箇所には臨機応変にフォローにまわるなど、柔軟な対応も求められる。
- 勧誘
ブースの周辺にいるスタッフは、パンフレットなどの販促ツールを配付するとともに、ブース内に来場者を勧誘する役割を担う。その際に重要となるのは、スタッフの観察眼。単なる通過客にパンフレットを配付したり勧誘をするのではなく、商品や製品に興味を示す来場者を見抜いて配付・勧誘することが大事。また、配付や勧誘の際には、ブースの周辺施設を予め認識したうえで、人の流れを把握し対応することも重要。例えば、ブース近くにレストランがある場合、昼食時間にはブースの前まで行列ができ、ブースの妨げとなる可能性がある。その際には、来場者の流れを遮らないような配付・勧誘対応が求められる。
④展示会終了後
- 撤収作業
展示会場の使用期限があるため、展示会終了後はすぐに展示品などの搬送物の撤去及びブース内の片付け・取り壊しを行う。
- 来場者へのフォローアップ
仲良くなった来場者はもちろん、将来的に顧客になる可能性のある潜在顧客に対して、急ぎ御礼状(もしくは御礼メール)を送付することは必須。また、その後も最新の活動内容等を伝えるなど、継続してフォローしていくことが大事。
- 実施した結果と考察についての考え方
ブース内で行ったアンケートや対話等(例:「説明を聞きたいと思った理由」「もっと欲しくなる機能について」)をもとに、今回の展示会におけるブース訪問者の傾向やニーズのとりまとめなどの訪問者分析を行う。この分析結果をもとに、商品開発や今後の展示会対応につなげていく。
【LPテスト】
①ターゲットの明確化
これから作ろうとしている商品はどんなターゲット層に向けたものなのかを明確にすることが重要です。
②段階ごとの成功の定義(目標値)の策定
期間ごとに成功と言える目標数値(例えば申込数など)を設定します。
この期間が短すぎると、本当の情報となりえない可能性が出てきます。LPテストで十分な情報と評価を集めるためにも商品の特徴により、3ヶ月、半年、1年などで区切って目標値を決めましょう。
そして設定した期間ごとの目標値に達していない場合は、どこに原因があるのかを探り、改善策を練っていきます。
長いスパンの中で1度きりではなく複数回繰り返すことで、ターゲティングや商品の改善、広告戦略などの精度が高まり、事業の成功に近づきます。
③集客方法の検討
LPサイトなどの場合、ただサイトを開設しただけでは新規顧客を集客することはできません。
サイトの存在を知ってもらい、訪問してもらって初めて見込み客となります。
そのために、広告を打ってアピールしていくことが必要になっていきます。その際よく活用されるのがリスティング広告です(GoogleやYahoo!など検索エンジンで検索したユーザーを対象に表示される広告)。
リスティング広告は、商品のターゲット層や購入してくれそうな見込み客が検索しそうなキーワードを選定して、そのキーワードに対してのみ広告を出すことができるため、ターゲット層に対してピンポイントでアピールすることが可能です。
まずは、商品を購入しそうな見込み客が入力しそうな検索ワードを推測し、リストアップをしたら、無料ツールを使って検索ボリュームや競合情報などを参考にしながら選定していきましょう。SNSでの広告が有効です。
④LPサイトの立ち上げ
まずは低予算で比較的簡単なLPサイトを作りましょう。
通常、サイト構築を外注するとかなり安くても20万円~50万円はかかります。
「ブランドをしっかり創ろう!」という意気込みのもと進めていく場合は、制作会社へ依頼した方が良いが、あくまで小さくスタートという場合には、自分で作っていくのが好ましいです。今は簡単なサイトならば、サイト制作経験が皆無な人でも直観的に作れてしまうサービスがたくさん存在します(参照:https://relic.co.jp/battery/articles/20362#i-3)。
⑤広告を打つ
サイトが出来上がったら、まずは予算10万円以下を目安に、選定した検索キーワードでリスティング広告を打ちましょう。
リスティング広告を運用代行している企業も多くありますが、運用委託し、結果を出していこうと考えている場合の予算は100万円/月程度です。
また、いきなり広告を打つのではなく、SEO対策を施したコンテンツを自社で制作し、地道に成果を上げていくという方法もあります。
成功確率でいくと、どちらの方法もあまり変わりませんが、展開スピードが大きく異なるため、時間をお金で買うかどうかの判断は必要です。
⑥結果を分析
広告の成果を判断する重要な基準として、「コンバージョン率(CVR)」と「コンバージョン単価(CPA)」があります。
コンバージョンとは広告の成果地点のことで、例えば、“実際に商品が予約購入されること”です。
CVRは広告のクリックがコンバージョンに繋がっている割合(広告を何回クリックされて、その内何件が販売に繋がったか)、CPAは1コンバージョンあたりのコスト(コンバージョンを1件獲得する為にいくらかかっているか)を表しています。
CVRが高ければ高いほど、CPAが低ければ低いほど、費用対効果の高い広告になっているといえます。
例)月間10万円の広告費をかけてリスティングを運用
・商品販売価格3,000円、粗利1,000円
・クリック数1000回、コンバージョン100件だった場合
※コンバージョン率(CVR)=「10%」
※コンバージョン単価(CPA)=「1,000円」
重要なのは、CVRを高め、CPAをできるだけ抑えて、効率よく販売に繋げていけるようにすることです。
例えば、上記例のCPAは1,000円の利益を得るために1,000円の広告費がかかっていることになり、利益は0の状況。
クリック率やコンバージョン率、1本あたりの商品粗利、成約率などから、自社で成功と考えるCVRとCPAの目標数値を設定し、それに向けて広告の運用方法やサイト内容を改善しましょう。
ケーススタディ
【クラウドファンディング】
アイデアのプロトタイピング支援に特化したクラウドファンディング
出典元:https://camp-fire.jp/channels/sparks
【展示会】
Panasonicは、「CEATEC JAPAN 2017」に出展し、コンセプト展示として、回路と一体化し機能を持たせたパッチ「ウェアラブルメーカーパッチ(WEARABLE MAKER PATCH)」を提案。
出典元:https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1710/10/news013.html
※コロナ禍における展示会について※
各展示会の主催者の判断ではあるが、感染対策をしながら開催したり、新しい形としてオンラインで実施するケースも増えてきている。
出典元:https://eventhub.jp/blog/exhibition-covid19/#outline__2
【LPテスト】
出典元:https://rdlp.jp/archives/otherdesign/lp/107518
注意点
実施前に「模倣」対策を要検討
試験的とはいえ、商品情報がオープンになってしまいます。つまり、競合他社や同じような商品・サービスを検討している企業の目にも入ることになります。商品のアイデアやネーミングを真似されて、大量に資金を投下されてまるで自分たちの商品のように販売されてしまうリスクがあるのです。これを守るのが特許であり、商標です。特許申請や商標登録によって真似されるリスクを軽減できます。特許は商品のアイデア、つまり商品自体のことです。商標はネーミングやパッケージのデザインのことです。詳しくは特許庁のウェブサイトを見てもらうか、顧問弁護士さんに相談するのが好ましいです。
実績は偶然かもしれない
仮にいい結果が得られたとしても、それをそのまま世の中のニーズとは受け取らないように注意をしましょう。あくまでも、「なぜいい反応が得られたのか?」「誰が一番買ってくれたのか?」「どういうシチュエーションだったのか?」「何が違ったらいらないのか?」などをしっかりと考える機会ととらえ、結果を分析し次につなげましょう。
まとめ
- 全くの更地で始めるのではなく、集客がある程度見込めるプラットフォームを利用するのが好ましい
- そのため、BtoCではクラウドファンディング、BtoBでは展示会、が有効だと考えられる
- しかしながら、ある程度のスキルがある人であれば、事前準備が多く、集客方法をちゃんと検討しなければならないLPテストも実施可能
- 公開して実施するため、ある程度の事前準備が必要
参考文献
- クラウドファンディングの事前準備~公開までの4ステップ
https://a-port.asahi.com/column/detail/263/ - 大手企業、なぜクラウドファンディング 市場調査に活用
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF14AK70U1A610C2000000/ - 出展企業側からみた展示会
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/7.5syo.pdf - ドライテストの鉄則とその流れ
https://start-oem.amebaownd.com/posts/6656950/
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