2023.11.21

MaaSの国内動向まとめ

MaaSの国内動向まとめ

昨今、注目を集めており、2030年には市場規模が2兆円を超えると考えられている「MaaS」について日本国内の現状について具体例を用いて説明すると共に、今後の展望をまとめていきたいと思います。

MaaSとは

MaaSとは「Mobility as a Service」直訳すると「サービスとしての移動」です。つまり、MaaSは次世代の移動手段です。
このMaaSの定義は国によってバラバラで日本の国土交通省は、「MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である」と定義しています。

詳しいMaaSの説明は下記をご確認ください。
https://relic.co.jp/battery/articles/18456

日本の現状

MaaSは5段階のレベルに分けられています。日本は、乗り換えサービスや地図アプリで出発地から目的地までの公共交通機関を調べることが可能なため、既にレベル1(情報の統合)は実現されています。また、レベル2、3も一部実現されていると思います。

レベル2(決済の統合)は、1つのアプリケーション上で複数の支払いや予約を行えるというものです。現在は、スイカやパスモなどの交通系マネーを用いれば、ほぼすべての公共交通機関で支払いをすることが出来ます。アプリケーション上ですべての支払いが出来るわけではないが、1つのカードですべての支払いが完結するという意味ではレベル2の一部が実現していると考えられます。

続いてレベル3(サービス提供の統合)は、目的地に対して複数の交通手段からどれを選んでも同じ料金で移動することが可能になり、定めたエリア間の移動に対して毎月定額支払うと交通手段を自由に選択し利用することができるサブスクリプション型のサービスなどが該当します。現在は、1日乗車券をはじめとした期間内であれば乗り放題のプランなどが多く出ています。これもレベル2と同様に、アプリケーションを介してはいないものの、一部実現していると考えられます。

今後MaaSを実現していく上での2つの課題

地方と都市の違い

日本で導入していくうえで、地域ごとにどの程度公共交通機関の整備がされているかを考慮する必要があります。都市部は電車、バス、タクシー、ライドシェアなど豊富に交通手段が整備されており、本数や台数も非常に多いのでMaaSを実現させやすい環境であると考えられます。

一方、地方に目を向けると電車やバスの本数は1時間に数本、タクシーは少なく、移動手段はほぼ自家用車という地域が多くあります。このように、地域によって公共交通機関の整備状況が違うので日本全体でMaaSを導入するのではなく、地域単位でのMaaSを検討していく必要があると考えられます。

付加価値をつけなければならない

現在日本では、Google mapをはじめとした地図アプリ、NAVITIMEなどの乗り換えアプリなどすでにかなり便利な検索ツールが存在します。出発地と目的地を設定するだけで豊富な組み合わせの移動手段を利用者に掲示してくれます。そして支払いはスイカやパスモなどの交通系マネーを用いればほぼすべて支払うことが出来ます。すでにMaaSに近い形でかなり便利になっているのです。

この状況でMaaSが実現したとしても利用者は限られると思います。なぜなら、すでに利用者は満足しているからです。つまり、MaaSを実現させるだけでなく、価格の安さや飲食店情報、クーポンなどそれを使いたくなる付加価値が必要となるのです。

国内企業のMaaSへの取り組み

WILLER(バス事業者)による「WILLERSアプリ」

WILLERSアプリは、鉄道やバス、タクシー、レンタカー、体験アクティビティなど行きたい観光地や体験したいアクティビティとそこに行くための交通を1つのアプリで簡単に「検索、予約、決済」することを可能にした統合型MaaSアプリです。
利用可能なエリアは「ひがし北海道エリア」と「京都丹後鉄道沿線エリア」、「南山城エリア」で、個人旅行者を対象としています。

WILLERSアプリでは、旅の出発地から目的地へのルート検索ができることはもちろん、ルート周辺に表示されたアクティビティや交通、観光スポットなどを目的地として追加することで、自分だけの旅の行程が完成します。旅の行程内で、事前予約可能なものは、交通だけでなく追加したアクティビティなども含め一括決済できます。選択できる交通やアクティビティの中には、例えばケーブルカーや遊覧船、ホーストレッキングなどがあり、観光地へのラストワンマイルを充実させるとともに、季節に合わせた最適なコンテンツを組み合わせることで移動の体験価値が向上し、より快適な個人旅行ができます。

東日本旅客鉄道株式会社「Ringo Pass」

「Ringo Pass」とはJR東日本がリリースしたスイカのID番号とクレジットカード情報を登録することで、タクシーやシェアサイクルなど複数の交通手段を利用できるMaaSアプリです。東京23区をベースとして展開しており、タクシーやシェアサイクルなどの交通手段に対して「探す」「乗る」「支払う」をアプリ1つで完結させることが出来ます。

トヨタ自動車株式会社「e-Palette Concept」

トヨタ自動車株式会社が発表した、MaaSへの導入を見越したモビリティサービス専用電気自動車です。特徴として「低床、箱型の広大な室内空間を有した車両デザイン」「車両制御インターフェースを開示するといった情報公開と外部連携設計」「ビジネスを支える車両運行サポート」の3点があります。さらに、ソフトバンクとの合弁会社として「モネテクノロジーズ」を立ち上げるなど、かなり大きなMaaS戦略を描いています。

まとめ

今回は、MaaSの現状について説明しました。MaaSは地域によって生活型か、観光型かなど形態は異なりますが、確実に私たちの生活を豊かにし、便利にしてくれるサービスなので今後の実現に期待したいです。また、現在のコロナウイルスの影響で「観光」「移動手段」など様々な面で既存のものと考え方や環境が変わっていくので、MaaSにおいてもどのように対応していくかに注目です。

 

【参考文献】

・MaaS を巡る国内の動向
https://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/71_1.pdf

・日本のMaaS市場は2030年に2兆8600億円に、2018年比3.5倍
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2003/18/news062.html

 

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