2023.12.22

プロセスイノベーションとは?具体事例と共に徹底解説

プロセスイノベーションとは?具体事例と共に徹底解説

みなさんは「イノベーション」と聞いて何を想像するでしょうか。新しい技術や製品を想像する方も多いのではないでしょうか。
実は、生産された「モノ」だけでなく、「生産方式」が変わることもイノベーションに含まれています。
そこで今回は、イノベーションのひとつである「プロセスイノベーション」についてご紹介いたします。

「イノベーション」について

イノベーションとは?

そもそもビジネスシーンで使われる「イノベーションの定義」とは、製品、サービス、組織、仕組み、ビジネスモデルなどに新たな技術、画期的な考え方、価値の創出を与えることで社会全体に大きな影響をもたらすことを言います。
オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーター(1883-1950)は、イノベーションの概念の提唱者であり、著書 『経済発展論』(1912年)の中で経済はイノベーションを中心に発展すると述べています。
イノベーションがいかにビジネスに欠かせないものなのかを主張しています。

イノベーションの分類

前述の通り、イノベーションにはいくつかの分類があります。
最もよく使われるのは、

プロセスイノベーション
プロダクトイノベーション

の2つの区分をもつ分類です。
他にも、初めてイノベーションの概念を提唱した経済学者シュンペーターは、イノベーションを以下のように分類しています。

プロセスイノベーション (新しい生産方法の導入)
プロダクトイノベーション (新しい生産物の創出)
マーケットイノベーション (新しい市場の開拓)
サプライチェーンイノベーション (新しい資源の獲得)
組織イノベーション (新しい組織の実現)

また派生になりますが、イノベーションは上記でご紹介した分類とは別に、業界やビジネスモデルに与える影響によって分類されることもあります。

それが破壊的イノベーション・持続的イノベーションという2種類のイノベーションです。これらについての詳しい内容は当サイトの記事をご覧になってください。

破壊的イノベーション・持続的イノベーションとは?事例と意味を解説

このように多くの区分をもつイノベーション(innovation)ですが、日本語では「技術革新」と訳されることが一般的です。

これではプロダクトイノベーションしか表していませんから、あまり適切でないといえます。

当記事ではこれらの内、プロセスイノベーションについて深く掘り下げてご説明します。

プロセスイノベーションとは?

プロセスイノベーションの概要

プロセスイノベーションとは、製品やサービスの変革ではなく、生産・流通の過程を改善して生産効率を向上させることです。 

生産効率の向上により、生産コスト・時間の削減、品質の向上が実現できます。つまり、既にある製品・サービスで相対的に利益を生み出すことができるのが特徴です。

実際には工場での生産方式の改革、店舗販売からネット販売への改革など様々なプロセスイノベーションが存在しています。

イノベーションのジレンマ

プロセスイノベーションの注意点を理解するにあたり、「イノベーションのジレンマ」という概念をおさえておく必要があります。

イノベーションのジレンマとは既存の顧客のニーズを満たすことに注力するあまりに、顧客が抱く他のニーズに応えることができず、イノベーションによって登場した新興企業にシェアを奪われてしまうことです。

企業の規模が大きいほど既存の事業に依存しやすく、新事業へのチャレンジがしづらくなります。特定事業のシェアが伸びていくと、顧客からのデータや期待が集まるため、企業はその既存事業ばかり重視してしまうことが多くなってしまうのです。

持続的イノベーション

こうした現象は持続的イノベーションによく見られます。

持続的イノベーションについては以下の記事でも詳しく説明しているので是非参照してみてください。

持続的イノベーションとは顧客のニーズに応えるため、既存の製品、サービスの品質、性能、生産過程の向上に注力することです。

つまりプロセスイノベーションとは持続的イノベーションの中にあり、「イノベーションのジレンマ」を引き起こす可能性が高いのです。

この持続的イノベーションは主に大企業が行っており、中小企業はそうした既存のニーズに固執することはとてもリスクが高い状態と言えます。中小企業にとってはプロセスイノベーションよりもプロダクトイノベーションなどの方が優先順位は高いのです。

プロセスイノベーションの具体例

では、どのようなものがプロセスイノベーションに該当するのでしょうか。
具体例と共に見てみましょう。

フォード生産方式

フォードは1903年、アメリカに自動車工場を立ち上げました。
当時高級品だった自動車を安価に大量に生産するため、フォードは工場にベルトコンベアを導入しました。
これがフォード生産方式の大きなポイントです。
ベルトコンベアで移動させながら流れ作業をすることにより、短時間で完成させられるようになりました。
また、ベルトコンベアで流れてくる一定の制限時間内に工程を完了させる必要があるため、部品の簡略化が行われました。
これがさらに生産効率を向上させます。
さらに自然と1人当たりの工程が簡単・単純になったため、以前よりも作業への熟練を必要としなくなりました。
高度な技術を要する職人だけを採用する必要がなくなったのです。
これらの要因により、安価で効率的に製造されたフォードの生産台数は爆発的に増加していきました。
世界で最も有名なプロセスイノベーションの1つであるといえます。

POSデータ分析

コンビニエンスストアのPOSデータ分析は商品が購入されると同時に、日時、店舗、個数、商品名、購入時の価格、更には性別、年齢層までも記録されます。コンビニエンスストアはこうした情報をもとに時間帯・曜日・天候による顧客層や購買内容の変化を把握することができ、最適な在庫・流通システムを構築することができるのです。

扱っている商品や販売方法は変わらずに、在庫の最適化や購買行動の把握によるコスト削減によって相対的に利益を向上している点がプロセスイノベーションと言えます。

ZOZOSUIT

ZOZOSUITは、ZOZOTOWNが提供している計測用スーツです。
自宅に届いたスーツを着てスマートフォンで撮影することで、体型を3次元で計測し、それをオーダーメイドスーツ等の注文に利用するという手順になっています。
体型にフィットする衣服を注文するためには、店舗に出向いて採寸してもらう必要がありました。
ZOZOSUITでは、そのコストを削減することができます。
さらに1度測定すればしばらくはそのデータを元に簡単に購入することができるため、売上高アップも見込める革新的なサービスでした。
現在の技術では計測誤差が避けられず、話題性が先行してしまったという見方もありますが、全く新しい生産方法であることには変わりありません。
将来、一般的になる生産方式なのかもしれません。

SPA(ユニクロ)

業界での流通のイノベーションの代表としてユニクロのSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)があります。ユニクロが安価でありながら高品質な商品が評価され、世界進出をはたしている理由にSPAが深く関わっているのです。製造小売ともいい、企画、製造、物流、販売すべてを自社で行うビジネスモデルです。

消費者の流行に素早く対応し、製品に反映させることができる点において、SPAは非常に有効と言えます。在庫の管理が容易であり、大量に生産、販売することで大幅な価格の引き下げにも成功しているのです。

まとめ

今回はイノベーションの中のプロセスイノベーションにフォーカスして、特徴、注意点、具体例についてまとめました。製品やサービスを変えるのでは無く、その生産過程、流通システムの改善により、相対的に利益を生み出すというのは新しい視点だったのではないでしょうか。

イノベーションには多くの種類、分類があり、それぞれの企業によって注力すべきことが変わってきます。何が必要かを把握し、バランスを取りながらプロダクトイノベーションに挑戦してみてください。

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