2024.3.18

ドラッカーが語る“イノベーションの要素”を徹底解説

ドラッカーが語る“イノベーションの要素”を徹底解説

“マネジメントの父”と呼ばれ、世界的に有名な経営学者であるピーター・ドラッカー。日本でも『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(『もしドラ』)が大ヒットし、知っている方も多いのではないでしょうか?

今回、そんなドラッカーがイノベーションについて語っていることを網羅的に収集し、記事にしてみました。ドラッカー流”イノベーションの産み方”を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

イノベーションを生み出す要素7つ

プロダクトライフサイクルをご存知でしょうか?どんな製品・サービスであっても、導入したのち必ず衰退していくというモデルのことです。

つまり、今あなたの会社で行っている既存事業も、いつかは朽ち、そして滅んでいくわけです。考えたくもないことですが、これが現実です。では、そんな中で会社はどう生き残っていけばいいか?それは他ならぬ「新規事業の開拓」つまりイノベーション創出なのです。

ドラッカーは、イノベーションを産み出す要素として7つを掲げています。これは順番にも意味があり、成功しやすい要素から並べられています。

  1. 予想外のもの
  2. ギャップ
  3. ニーズ/需要
  4. 産業市場の変化
  5. 人口動態
  6. 世論の変化
  7. 新発明

では、1つずつ解説していきます。

1. 予想外のもの

予想外のものは、さらに4つのパターンに分けられます。

(1) 予想外の成功

(2) 予想外の失敗

(3) 予想外の顧客/顧客の要望

(4) 予想外の出来事

(1),(2),(4)はわかりやすいことと思います。

既存事業の業務を遂行する中で、予想外にうまくいった・いかなかったということはよくあることだからです。それを単なる事象として捉えるのではなく、「何か新しいビジネスの種はないか」という視点から考えてみるということです。

(3)に関しては、マーケットイン(顧客第一主義)の視点からも大変有効な施策であると考えます。

具体的に、あるリフォーム業者の例を挙げてみましょう。その会社は、地方に本社をおく中小企業で、大手企業との熾烈な競争で急速にシェアを縮めていました。社長は、「このままでは本当に倒産してしまう・・・」そんなことを思いつつも、何も施策を打てないでいました。

そんなある日、従業員で電話窓口を担当している女性から相談を受けます。「最近、『造園やってませんか?」という間違い電話が多いんですよ〜」と彼女はいっていました。その時は軽く流してしまいましたが、後から考えた時、「顧客にとってはリフォームも造園作成も同じくくりなのではないか?」と思い至りました。そのリフォーム会社は実際に造園事業に乗り出し、今では安定した収益を得ているそうです。

このように、自社にとっての思わぬ顧客/顧客からの要望が華を咲かせることがあります。

またドラッカーは、予想外の成功が必ず目にとまる仕組みを作ることも重要であると言っています。例えば、従業員の日報に、「予想外にうまくいったこと」などという欄をもうけ、現場から声を吸い上げると言ったような物です。

2. ギャップ

ギャップとは「差異」の意味であり、ここでは「ユーザーの実際の状況」と「提供されている製品/サービス」の間の差異のことを表しています。

例えば、東京などの大都市に点在している「立ち食いそば」はギャップを埋めるサービスの一つです。昼食にかけている時間はない、だけど栄養補給はしたい…そんなビジネスパーソンのために作られた飲食業の新しい姿です。

3. ニーズ

ニーズ、すなわち実需”のことです。

これはあまり説明は必要ないでしょう。人々が必要と思っている物を生産し、実際にユーザーにリーチすることができれば、その製品がヒットすることは間違いありません。

4. 産業市場の変化

ここ数十年の話で言えば、IT革命が最も人類の生活に影響を及ぼしいうまでもなくビジネスの世界も景色が一変しました。

GAFAをはじめとした、現在世界でもトップクラスの企業は、ITの波をいち早く捉えて新規事業を生み出してきた企業であるのです。

5. 人口動態

各国において、人口ピラミッドの形は変わっていますが、ここをよく分析することもイノベーションの種になり得ます。

日本を例に取れば、「超高齢化社会」が目前にまで迫ってきています。ということは、いうまでもなく高齢者をターゲットとした市場は盛り上がってきます。しかも現在、高齢者市場は課題が山積している市場がたくさんある未開拓市場でもあるので、まだみぬチャンスが眠っているかもしれません。

6. 世論の変化

人々の意識の変化という、定性的ではあるものの、こちらも重要な要素です。

昨今では人々の健康意識が高まっていることはいうまでもありません。そうすると、例えば健康器具やフィットネスジムなどは市場が大きく伸びていくと想像がつきます。また、タバコや酒などの嗜好品は、「健康によくない」というイメージからだんだんと市場が縮んでいくと思われます。

7. 新発明

これは多くの人が「イノベーション」ときいて真っ先に思い浮かびそうな言葉ですが、実はドラッカーに言わせると、成功する順番的には一番最後なわけですね。

1~7 で述べられているような、比較的明確な根拠に基づかず新しい物を創り上げるのは、なかなか凡人では難しいということではないでしょうか。

イノベーションを生み出す組織の要素

ここまでで、イノベーションを生み出す要素7つをみてきました。では、新たなアイデアが出たのはいいけど、それを活かす組織ってどんな要素が必要なのか、こちらもみていきましょう。

具体的には3つあります。

1. 既存事業と切り分けること

2. マイナス評価/減給などしないこと

3. 社長直下のプロジェクトとすること

1. 既存事業と切り分けること

すでに生み出された事業をグロースさせる1→100の業務と、新しい事業を生み出す0→1の業務は性質が異なります。

なので、人事に関しても、新規事業に適した人材をアサインすることが重要です。新規事業に適した人材については、こちらの記事にまとめてあるのでぜひご覧ください。

新規事業に向いている人材とは?求められる資質や特徴を交えて解説

2. マイナス評価/減給などしないこと

社員は、今まで前例のないプロジェクトに回されることに大きな不安を抱いている場合が少なくありません。そんな不安は、仕事の出来不出来にネガティブな影響を与えてしまうことでしょう。

アサインの時点で、新規事業が仮に失敗したとしても給料は保障されるなどの確約を行っておくと、社員ものびのびと新規事業開発に打ち込めることでしょう。

3. 社長直下のプロジェクトとすること

既存事業しかやってこなかった会社であったり、大企業であったりすると、どうしても意思決定のスピードが遅れてしまいがちです。

しかし、新規事業はスピードが命です。他の競合であるスタートアップに遅れを取らないためには、社長直下でスピーディな意思決定を行っていく必要があります。

最後に:イノベーションに関連した名言

最後はこの、ドラッカーの名言で締めさせていただきます。

ドラッカーは、「未来とはつまるところ、勇気である」と言っています。まだみぬ未来に投資し、リスクを背負って新しい事業を開発していくには、ロジカルな要素ももちろんとても大事ですが、それを超える熱量が大事なことは言うまでもないです。

ドラッカーの言葉を参考に、ぜひ新規事業を成功させてください。お困りごとがありましたら、弊社Relicへご相談下さい。

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