経済学者シュンペーターが語る「イノベーションの5パターン」とは?定義や企業事例を徹底解説
Contents
①新しい製品/サービスの創出
「プロダクト・イノベーション」のこと。新製品を市場に出すことによって、今まで市場を席巻していた製品やプレーヤーを駆逐します。
SONYが販売している「ウォークマン」は、この代表例と言えるでしょう。従来、音楽機器は据置タイプの物が主流でしたが、ウォークマンの誕生によって場所を気にせずに音楽を聴けるようになりました。
②新しい生産方法の導入
「プロセス・イノベーション」のこと。モノの生産ラインを変革することを指します。
具体的には、ユニクロなどが取り入れている、製造小売モデルがあります。企画・製造・小売を一貫して行うモデルのことですが、これにより中間搾取がなくなるのはさることながら、消費者の要求を製品に反映しやすい、在庫のコントロールがしやすいなどのメリットもあります。
③新しい市場への参入
「マーケット・イノベーション」のこと。今まで他のプレーヤーが取り組んでこなかった市場に参入することを意味します。
例えば、女性専用のフィットネスクラブの「カーブス」はこの例にあたります。一般的なスポーツクラブやジムは、思いっきり身体を動かして運動したい人のニーズに応えるため、プールやシャワーなどの大規模投資が必要でした。しかし、メインターゲットを中高年女性に絞ったことで、そうした投資が不要になりました。コンパクトな店舗で十分なため、住宅街にも進出でき、スポーツビジネスに変革をもたらした例と言えるでしょう。
④新しい資源の獲得
「サプライチェーン・イノベーション」のこと。サービスの元となる原料において変革をもたらすことです。
原料に関しては、新規・既存を問いません。イメージしやすいのは、飲食業界において「外国産の安くて質の良い原料が出たのでそちらにシフトチェンジしよう」という既存原料でのイノベーションでしょう。一方で、付箋の「ポストイット」が生まれた経緯のように、新規原料を活用する事例もあります。強力な接着剤を開発中に偶然生まれた接着力の弱い原料が、ポストイットの生まれる要因となったのです。
⑤新しい組織の実現
「オーガナイゼーション・イノベーション」のこと。組織を意識的に改革することによってイノベーションを生み出しやすくする狙いがあります。
好例なのは、藤田晋さん率いるサイバーエージェントグループでしょう。サイバーエージェントでは、年次に関係なく(たとえ新卒であったとしても)その人に能力とアイデアがあれば子会社の社長を任せるなどの風潮があります。そういった、新しい風を吹きやすくしている工夫がイノベーションを生みます。
組織の改革は、自社内で実施するものだけでなく、オープンイノベーションや他社との協業などの選択肢もあります。
イノベーション創出においては、上記の中の複数のパターンを組み合わせることも稀ではありません。特に⑤の「オーガナイゼーション・イノベーション」によって①〜④のイノベーションの発想が社内から生まれる可能性が高くなると見込まれるため、いずれかに固執するのではなく様々な選択肢を柔軟に検討することが重要です。なお、イノベーションの起きやすい組織づくりの方法については下記の記事で詳しくご紹介しています。
資本主義の本分は創造的破壊である。
この見出しは、シュンペーターが残した名言の1つ。弱肉強食の資本主義の世界では、創造的破壊、つまりイノベーションを起こさなければ生き残ることはできないことを表現しています。不確実性の高いこの時代において、既存事業の推進のみでは中長期的な成長を担保することが困難と考えられるからこそ、イノベーションの重要性は市場のいかなるプレーヤーも無視することができないものと言えるでしょう。今回の記事が、自社でのイノベーション創出・新規事業開発を検討される上での参考になれば幸いです。
『イノベーションの再現性を高める新規事業開発マネジメント』の著者・北嶋貴明が代表を務める株式会社Relicは、大企業からスタートアップまで4000社・20,000以上の支援・共創実績を持ち、多様な領域のイノベーション創出に関わってまいりました。お困りごとがありましたら、お問い合わせよりぜひお気軽にご相談下さい。
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