2024.3.14

4C分析とは?4P分析との違いや、具体事例を徹底解説

4C分析とは?4P分析との違いや、具体事例を徹底解説

「4C分析」とは、顧客側の目線でマーケティングを行うフレームワークです。オーソドックスな手法として聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。本記事では、4C分析の目的やポイント、よく似たフレームワークである4P分析との関係をご紹介します。

4C分析とは

マーケティングを実行するにあたり、どのような方針や考え方に基づいて進めるべきか悩まれた経験のある方は多いのではないでしょうか?

闇雲に作業を進めると「どこまで検討するべきか」「どのように結果をまとめればよいのか」ということや、「結局何が分かったと言えるのか」ということが分からず、時間とコストがムダになってしまいかねません。

そこで本記事では、マーケティングを効率的に行うためのフレームワークの1つである「4C分析」をご紹介します。このフレームワークは、顧客目線で商品やサービスについて分析、検討したい場合に有効です。

4C分析における4つのCとは、「Customer Value(顧客にとっての価値)」、「Cost(顧客が費やすコスト)」、「Convenience(顧客にとっての利便性)」、「Communication(顧客とのコミュニケーション)」を指し、1993年にアメリカの経済学者であるロバート・ラウターボーンによって考案されました。

価値やコスト、利便性などは顧客の購入意思決定に関わる重要な要素であり、商品やサービスの売上げに大きく影響します。4C分析による論理的な検討を行うことで、顧客側の視点から展開する商品やサービスの特徴を捉え、整理することができます。

4C分析のポイント

ここから、4C分析の4つのCについてそれぞれ具体的な内容をご説明します。重要なポイントは、自社の考えを整理するということではなく、「顧客」を主語として、それぞれ顧客がどのように感じるのかを整理する必要があるということです。

Customer Value
顧客価値
Cost
顧客コスト
Convenience
利便性
Communication
コミュニケーション

Customer Value(顧客にとっての価値)

顧客にとっての価値とは、商品やサービスを購入、利用することで得られる価値のことであり、多角的な視点で分析することが重要です。

高級レストランでのディナーを例にとって考えてみると、食事をすることによって「おいしい物が食べられた」という満足感が得られることに加え、高級レストランならではのおしゃれな盛り付け、雰囲気によって「インスタ映えする写真が撮れる」といった食事そのものとは別の価値があると言えます。

このような顧客の価値を分析するうえで、参考になるフレームワークがバリュープロポジションキャンバスです。このフレームワークでは、顧客にとっての価値をGain CreatorsとPain Reliversに分けて検討します。Gain Creatorsは顧客に利得をもたらす価値、すなわちプラスの価値であり、Pain Reliversは顧客の課題を解決する価値、すなわちマイナスをゼロまたはプラスにする価値です。「バリュープロポジションキャンバス」について詳しく知りたい方は下記の記事をご一読ください。

商品やサービスの価値を検討するうえで、どうしても企業側の目線で考えがちになりますが、企業側が考える価値と顧客が感じる価値は必ずしも一致するわけではありません。あくまで、「顧客にとっての価値」を追求することが重要です。

Cost(顧客が費やすコスト)

顧客にとってのコストとは、商品やサービスを利用するうえで発生する「すべての負担」のことを指します。「すべての負担」であるため、金銭的なもの以外にも時間的なものや、心理的なものも含まれます。

ネットショッピングを例にとってみると、商品そのものの価格は当然コストになりますが、それ以外に下記の点も顧客にとっての負担、すなわちコストであると考えられます。

・商品が到着するまでの時間
・購入に必要な情報の入力作業
・その商品が自分のイメージ通りのものか分からないという不安、心配

たとえ価格が安かったとしても、これらのコストが障壁となって顧客を失う/獲得できない事態につながってしまうこともありえます。

これはtoCだけでなく、toBにもあてはまるポイントです。商品やサービス自体の機能がいかに充実していたとしても、導入するために必要な作業が多かったり、時間がかかってしまったりするのでは総合的なコストが高いのでは避けられてしまいかねません。

そのため、金銭面はもちろんのこと、それ以外のコスト発生要因を押さえ、どのように解消/低減できるか考えていくことが重要です。

Convenience(顧客にとっての利便性)

顧客にとって、商品やサービスの購入・利用が手軽にできるか、便利だと感じられるかは、その商品やサービスを選択するかどうかの決定に関わる重要な要素です。

最近、OMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)という概念がよく用いられているように、顧客目線で体験をいかに最大化できるかということはビジネスにおいても不可欠な考え方となってきています。

企業側の目線で、実店舗にすべきか、オンラインショップにすべきかを判断するのではなく、顧客が商品やサービスを購入・利用するうえで最も手軽な方法は何か考えることがポイントです。

そのうえで、たとえばオンラインショップであれば、ECサイトが顧客にとって使いやすい(必要な情報にアクセスしやすい、決済までのフローが簡潔かつ利用可能な手段が多い、購入履歴の管理がしやすいなど)構造となっているのか検討するといったことが必要となります。

Communication(顧客とのコミュニケーション)

ここでのコミュニケーションとは、顧客と企業の直接的なコミュニケーションだけでなく、商品やサービスの購入、利用に関するすべてのコミュニケーションのことを指しており、「顧客と商品、サービスの接点」と定義できます。

そのため、購入時の担当者と顧客のやりとりや、購入後のカスタマーセンターに対する問い合わせはもちろんのこと、商品を販売するECサイトや、SNS、口コミなどもコミュニケーションとして考慮すべき対象として含まれます。

企業側の目線で、商品やサービスにおけるライフサイクルのフェーズごとにコミュニケーションを取ろうと考えるよりも、顧客が商品やサービスを購入し、利用する行動全体を分析して必要な接点がないか、その接点で何をすべきか考えることが重要です。

その際、顧客の行動を分析する「カスタマージャーニーマップ」の作成を検討することが有効です。「カスタマージャーニーマップ」ついて下記の記事でご紹介していますので、ご一読ください。

4C分析の具体的な事例

以上のポイントを踏まえ、4C分析の具体的な事例をご紹介します。ここでは、フードデリバリーサービスの最大手「Uber Eats」を例に説明します。

Customer Value(顧客にとっての価値)

Uber Eatsをはじめとするフードデリバリーサービスの最大の価値は、店舗に行く必要がなく、自分の好きなタイミングで「いつでもどこでも」購入できるということです。「ちょっと遠いし直接行くには時間がない、でも美味しいものが食べたい」というニーズを満たしてくれます。また、対面でやり取りをする必要がないため、コロナ禍で感染リスクを低減できるということも価値として注目されています。

Cost(顧客が費やすコスト)

Uber Eatsには2021年5月現在、10万店を超える店舗が加盟しています。そのため、複数のサイトを訪問・比較するよりも手軽にお店やメニューを調べることができ、食べたいものを購入するにあたっての手間を省くことができます。また、帰宅時の受け取りなど時間を自由に指定できるため、待機時間を削減することができるなど、価格以外に負担に感じる点が解消されていると言えます。

Convenience(顧客にとっての利便性)

Uber Eatsは、比較検索、注文および決済、受け取りを1つのアプリ上で完結することができます。また、決済方法の選択肢が豊富であり、顧客にとって都合の良い方法で決済を完了させられる利便性があります。そのほか、Uber Eatsは大都市圏に加盟店舗、配達員ともに集中しており、人口密度に応じた配達効率の向上が図られているため、住んでいる場所を問わず一定の時間内に注文から受け取りまで完了できることも利便性の1つの要素です。

Communication(顧客とのコミュニケーション)

Uber EatsのCMをご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。テレビだけでなく、YouTubeやネット上の広告も積極的に実施しており、顧客認知度の向上が図られています。また、加盟店であることの掲示もよく見かけるように、いつも行くお店で使えるサービスというアピールがなされています。さらに、店舗、顧客ともに配達員に対する評価を行う制度が導入されており、購入以外の部分でのコミュニケーションが可能な点も特徴の1つです。

このように、具体的な事例を用いて4C分析を行うことで、ヒットしている商品やサービスの成功要因を多面的に理解することができます。分析した結果も参考にしつつ、自社の商品やサービスのマーケティング戦略に活かしていきましょう。

4C分析と4P分析の関係

ここまで、4C分析のポイントと具体的な事例をご説明してきましたが、対となるフレームワークとして4P分析があります。そもそも4C分析とは、4P分析をヒントに構築された分析手法です。

Product
製品
Price
価格
Place
立地
Promotion
販売促進

4P分析における4つのPは、「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Place(立地)」、「Promotion(販売促進)」を指し、1960年にアメリカの経済学者であるエドモンド・マッカーシーによって考案されました。

1990年代に4C分析が登場するまで、4P分析をはじめ、企業側の目線で商品やサービスの内容を設定するフレームワークがほとんどでした。その理由として、プロダクトアウト型のビジネスが主流であり、いかに機能を充実させるかが最も重要なポイントだったことがあげられます。

しかし、テクノロジーの発達およびSNSの普及により機能面での差別化が困難になってきており、いかに顧客に買ってもらうか、利用してもらうかということの重要性が高まってきています。そこで、従来のフレームワークにはない顧客側の目線で分析できる手法が求められるようになった結果、4P分析の各項目を顧客目線に置き換える形で4C分析が考案されました。

4P分析と4C分析の関係図

ただ、4C分析だけを実施すればよいということではありません。4P分析と4C分析をいずれも実施することで、企業側、顧客側両方の視点で多角的にマーケティングを実施することができます。また、顧客側の目線だと認識していたものが、実は企業側の目線だった、といったことに気づくこともできるため、両方とも使いこなす事が重要です。

もう1つの4C分析

「4C分析」と検索すると、同じ名前の別のフレームワークが出てくることがあります。こちらは、市場環境を分析するフレームワークである3C分析を拡張したもので、全く異なるため注意が必要です。

3C分析は、「Customer(顧客)」、「Competitor(競合)」、「Company(自社)」の3つのCを分析することで、市場における自社の強みやKSFを導き出すために用いられます。その3Cに「Co-Operator(協力者)」を追加したものがもう1つの4C分析です。

まとめ

4C分析が登場してからすでに20年以上経過しており、最近では「4P分析はおろか、4C分析も古い」と言われることもあります。しかし、4C分析の考え方はマーケティングにおける最も基本的な考え方であり、必ず押さえておくべきポイントだと言えます。また、最新のフレームワークの土台でもあるので、ぜひ使い倒していきましょう。

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