2023.12.22

新規事業が失敗する理由とは?成功させるためのアプローチを事例とともに解説

新規事業が失敗する理由とは?成功させるためのアプローチを事例とともに解説

「いきなり新規事業担当部署に配属された」「新規事業ってどうすれば成功させられるんだ…」このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

実際、新規事業の界隈では、「多産多死」という言葉が使われており、新たな事業を立ち上げたとしても、目標に達することができずに撤退してしまうパターンが多くあります。

しかし、新規事業が「なぜ失敗するのか」「どうすれば成功しやすくなるのか」それらを事前に知っておくことは、難易度の高い新規事業の成功確度を少しでも高めることに寄与します。

そこで今回は、新規事業の失敗理由と成功するためのアプローチをお伝えしたいと思います。

データから見る新規事業の成功率・失敗率

成功率はどのようにして分かるのか

新規事業の成功数を正確に表すことは少し難しいですが、ある程度は下記の計算で求めることが可能です。

アイデア数×事業化成功率×収益化成功率

経済産業省の新事業の取り組みに関する調査データによると、新規事業展開を行った企業のうち、成功していると回答した企業は約29%。その中で、経常利益率が増加したと回答した企業は約50%です。つまり、約80〜90%の企業が新規事業に失敗していると言えるでしょう。

これらの結果は意外でしたか?それとも理解できる結果でしたか?このかなり低い成功率を少しでも高くするために失敗する要因を把握しておくことが非常に重要です。

成功率の高い企業と低い企業の違いとは

まず基本的に中小企業よりも大企業の方が新規事業の成功率が高いです。資金や人材、経験に富んでいる大企業の成功率が高いのは理解できます。
しかし中小企業の中でも新規事業の成功率に違いが生まれます。前提として何をもって事業の成功とするかですが、評価する期間、到達点によって大きく変わります。例えば研究開発には多くの時間を要するため長期的に判断することが必要になります。
そこで新規事業の成功を「利益率の増加」とすると2017年版「中小企業白書」のデータからは、新規事業を積極的に展開している企業の方が、新規事業を展開していない企業に比べて利益率が増加傾向にあることが分かります。
つまり新規事業に自主的に取り組んでいる企業ほど成功率が高く、他方、目まぐるしく変わる市場環境など、外部要因にきっかけを持つ企業ほど失敗率が高いと言えます。

新規事業が失敗する5つの“不足”

早速本題へと入ります。新規事業が失敗する原因として、4つのことが“不足”していると考えます。ではその4つを1つずつ解説していきます。

①顧客ニーズの見極め“不足”

「自社のリソースも完備したし、競合分析もバッチリ。」そうであっても、顧客のニーズに応えるプロダクトを世に出していなければ、せっかくの新規事業も水泡に帰してしまいます。

ニーズの見極め不足の例としては、Googleが開発した「Google Glass」の事例があります。発売当初は、破壊的イノベーションを起こすポテンシャルのある製品として話題になりましたが、結局世界的に広がるといった成功を収めることはできませんでした。

その理由としては、グーグルグラスGoogle Glassが解決する課題が、すでに既存の製品によって代替可能であったからです。グーグルグラスの中心機能として、インターネットを使えることでしたが、こちらはすでに携帯可能なスマートフォンによって解決されていました。

このように、顧客のニーズを調査しないと、そもそもニーズがなく製品が売れないということも起こり得てしまうのです。

②スピードの“不足”

新規事業にとって、スピードの不足は命取りとなります。

なぜなら、たとえリソースのある大企業が新規事業に取り組むとしても、対抗していかなければならない相手は、国外までをも含めた大企業〜中小・スタートアップ企業であり、特に意思決定の速いスタートアップ企業に真似をされるリスクを考えても、迅速に行動をしなければなりません。

よくある要因としては、大企業における新規事業開発にて社内稟議に時間をとられすぎてしまい、思うように新規事業開発が進まないというものです。

③資金の“不足”

企業で新規事業が進められる場合、予算が割り当てられ、その予算内で業務・活動を続けていくのが基本です。

しかし、曖昧で不確実性が高い新規事業開発では、当初思いもよらなかった予算が必要になることもあります。例えば、リサーチにかかる費用や外部に協力を依頼した時にかかる費用です。

部署では、当然のように予算内で事業を進めていくよう努力することでしょう。もちろん、限られた予算・制約の中で工夫をすることは必要です。

しかし、節約したが故に万全なリサーチができなかったり、必要なリソースを調達できなくなったりということも起こり得ます。

そうなってしまうと、いうまでもなく新規事業は弱体化していき、やがて失敗という結果を招いてしまいます。

④新規事業開発の経験“不足”

実際に新規事業に携わったことのある方は、珍しいと言えるでしょう。なぜならば、企業は基本的に既存事業の遂行によって成り立っているのであり、新規事業を立ち上げる必要がないからです。

だからこそ、新規事業に携われる機会というのはとても少なく、突然新規事業開発の部署に配属されたり、新規事業を実行したりする立場になったりしても、何から始めたらいいかわからないというのが現状です。

しかし、実際に新規事業を成功させていくためには、新規事業に関するあらゆるスキルや知識が必要です。一例を挙げただけでも、分析力・思考力・調整力・営業力、会計・IT・マーケティングの知識…このほかにもあらゆる能力が必要になってきます。

もちろん、これらの能力はチームで補い合いながら補填していくべきことですが、新規事業開発の現場では往々にして何らかの能力が足りていないことがあります。それが原因で、プロダクトの欠陥を見つけられなかったり、攻めるべきでない市場に攻め込んでしまうことも起こり得ます。

ここまでで、新規事業が失敗する4つの不足について述べてきました。どれか1つでも不足すれば必ず新規事業が失敗するといったことではないものの、新規事業開発の現場に何らかの悪影響をもたらすことはいうまでもありません。

では、いったいどうしたら新規事業の成功確率をあげることができるのか、4つの不足を補う方法を以下でお伝えします。

⑤撤退ラインの“不足”

事業を撤退する判断は非常に難しいが、同時に重要であり、そのため多くの経営者の頭を悩ませてきました。サンクコストバイアスが働き、それまでに費やした労力やお金、時間などを惜しむことにより、撤退の意思決定に影響を与えてしまいます。

ましてや大企業であればあるほど金銭的・人的リソースに余裕がある分、利益率の改善が望まれないにも関わらず投資し続けてしまう傾向が見受けられます。こうした状況を避けるため、あらかじめ、新事業を止めるタイミングで撤退の条件を決めておくことが重要となります。

撤退ラインの決め方については下記の資料を参考にしてみてください。
https://relic.co.jp/battery/articles/8095

新規事業の成功確度をあげる6つのアプローチ

具体的なアプローチの6つのアプローチを1つずつ説明していきます。

①仮説検証を繰り返す

顧客ニーズを把握するのは簡単なことではありません。ヒアリングや市場調査を行うことが重要なのは間違いないですが、延々と調査をしていても、時間がなくなる一方です。そもそも長期間調査をしている間に市場は刻々と変化してしまいます。

タイムリーに顧客のニーズに応えるためには、自分なり・組織なりの仮説を持って行動することが一番の近道となります。

一定の仮説があれば、それを基軸にして仮説検証→修正→検証→修正・・・のサイクルを回すことができ、非常に効率的です。

ここで大事なことは、「ベストよりベター」を求める、ということです。正解のない、不確実性の高いビジネスの世界では、ベストを求めているといつまでたっても具体的結論にたどり着くことはできません。ベターを追求し続けることで、結果的にいずれベストにたどり着くことができます。

これに関連して、現代注目されている起業方法として「リーン・スタートアップ」という言葉があります。リーン・スタートアップに関しては、こちらの記事をご覧ください。

https://relic.co.jp/battery/articles/9056

②トップがコミットする

新規事業において、トップがコミットすることは、意思決定の場面で非常に有効な効果を発揮します。先ほども申し上げた通り、予算承認や社内決議に時間をかけていては、せっかくの新規事業アイデアも台無しになってしまいます。

組織の最終決裁権を持ったトップが新規事業開発に携わることによって、リアルタイムで案件の状況を把握し、どれくらい社内リソースを割けるのかを迅速に決定することができます

③予算配分を柔軟にする

これは、②のトップがコミットしていることが前提となってきます。新規事業開発部署が、新規事業遂行のためにどうしても予算を必要とした場合、柔軟に予算配分を変えられることが、成功確度を上げるうえでは有効です。

新規事業開発では、前述の通り、予想外の予算が必要になってくることもあります。その際に、柔軟に予算を配分するプロセスが確立されていることが新規事業成功への近道です。

④経験者に相談する

新規事業開発経験者が不足していることは多いですが、社内で見つけようと思っても、すぐに身につくような能力でもないため、見つけるのは困難でしょう。社内にリソースがないならば、社外からリソースを調達するのが良い解決法です。

リソースを調達する手段としては、主に2つのものが挙げられます。

(1)社内の知り合い・つながりから必要な人材を見つける

(2)新規事業開発支援専門の会社に相談・発注する

(1)に関しては、正直かなり難易度が高いというのが現状だと思います。先ほども申し上げたように、実際に新規事業に携わったことのある方自体が珍しいので、身近な社外にそれを求めてもなかなか見つかりにくいという現状があります。

(2)に関しては、こちらの記事で新規事業開発のコンサルティング会社をリスト化しました。ぜひこちらもご覧ください。

新規事業開発のコンサル会社4選|支援フェーズや特徴を徹底解説

 

⑤事業に対するモチベーションの維持

新規事業は当初の計画通りに行かず、収益、顧客確保、受注数などが確保できないといったことが多く起こります。そのような立ち行かない状況が続くことでモチベーションが低下し、新規事業の失敗につながることがあります。

成果が出るまでに長期間を要する新規事業は、その事業に対する強い熱意がなくては成功しないのです。

新規事業に関わるチーム全体の士気を高めるには、何よりも経営者自身が「情熱」をもつ必要があります。常に熱意のある姿勢で業務にあたれば、自然と周りの人間を鼓舞することができ、成功率に大きな影響を与えます。

経営者、社員のモチベーションの維持というものが事業成功に与える影響力を認識する必要があります。

⑥事業プランの視覚化

新規事業を成功させるには、チームが一丸となって事業に取り組む必要があります。しかし、明確な事業プランがなければ、チームの全員が同じ方向を目指すことは難しくなります。

そこでぜひ取り組みたい対策が、「ビジネスプランとコンセプトの可視化」です。可視化したものをチーム全体で共有することで、新規事業の運営は一気に円滑になります。

ビジネスに活用できる主なフレームワーク 概要

・SWOT分析
「強み・弱み・機会・脅威」の4つの観点から、内部環境と外部環境を分析するための手法。

・ポジショニングマップ
「コスト」と「サービスレベル」のように2つの軸をつくり、自社や競合他社がどのポジションにいるのかを分析するための手法。

・3C分析
「顧客・競合他社・自社」の3つの観点から、事業性の高いビジネスプランを策定するための手法。

「5W1H」や「ペルソナ分析」など、ほかにも新規事業に活用できるフレームワークはいくつか存在します。ビジネスプランの質を客観的に判断するためにも、さまざまなフレームワークを活用しながら経営者のアイデアを可視化していくことが大切です。

新規事業の失敗を防ぎ、成功する新規事業を

ここまでで新規事業の失敗する理由と成功確度を上げるための要因を述べてきました。

偶然の成功はありえますが、失敗する時は必ず原因があります。自社の新規事業にどんな不足が起きているのか、ぜひこの記事を参考にしながら考えてみてください。

また、こちらの記事では、新規事業が失敗した事例を掲載しています。実際にどんな事例が起きたのか、この記事のパターンと見比べながらご覧ください。

失敗した企業イノベーション【10の事例】

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