「オールオアナッシング」「ダイレクトチャレンジ」クラウドファンディングでよく聞くこの言葉の意味とは?

クラウドファンディングで資金調達を行う際に、「オールオアナッシング」と「ダイレクトチャレンジ」という言葉を耳にする方も多いのではないでしょうか。
実際にクラウドファンディングを実施するときは、この「オールオアナッシング」と「ダイレクトチャレンジ」のいずれかの方式を選択し、資金を集めます。
そのため、「オールオアナッシング」と「ダイレクトチャレンジ」の意味をそれぞれ理解し、その特徴に合わせて適切なプロジェクトタイプを選択することが大切です。
今回は「オールオアナッシング」と「ダイレクトチャレンジ」のそれぞれについて、クラウドファンディングにおける意味合いを解説し、そしてその特徴に関して考察していきます。
Contents
オールオアナッシング方式/目標達成型
オールオアナッシングってそもそもどんな意味?
そもそも、オールオアナッシング(All-or-Nothing)とは、「すべてか全くの無かのどちらかで、中間的なものがないこと。」という意味の言葉であり、そのほかにも「妥協を許さない」などの意味も持っています。(精選版 日本国語大辞典より)
次項では、クラウドファンディングにおけるオールオアナッシング方式について解説します。
クラウドファンディングにおけるオールオアナッシング方式とは
クラウドファンディングにおけるオールオアナッシング方式では、プロジェクトの期間終了までに支援金の総額が目標金額を達成した場合と達成しなかった場合の2パターンで資金調達できるかどうかが変わります。
- 達成した場合:プロジェクトの期間終了までに集まった支援金の総額からサービスの手数料を差し引いた金額が、プロジェクト起案者の銀行口座に振り込まれます。プロジェクトを掲載したクラウドファンディングサイトによって差し引かれる手数料の割合は異なりますが、国内のサービスですと10〜20%程度が平均です。
また、支援者は支援したプロジェクトの内容に応じてリターンを獲得します。 - 達成しなかった場合:それぞれの支援者のもとに支援金が全て返金される(もしくは購入がキャンセルされます)ため、支援者は支援したプロジェクトのリターンを獲得することはできず、プロジェクトの立案者は資金調達を行うことはできません。
※細かいルールはクラウドファンディングサイトによって異なりますので、プロジェクト相談の前にしっかりと確認をしておきましょう。
このように、目標金額に1円でも達しなければ集めた支援金額は支援者のもとに全額返金され、その時点でプロジェクトは終了となります。そのため、あと少しで目標金額に達成というところで募集期間が終了となり、プロジェクトが失敗に終わるという恐れもあります。
しかし、目標金額に達しなければ、プロジェクトが実行されないということは、裏を返せば『目標金額が集まったらできるが、集まらなければ実行できない』という、必要な資金が明確なプロジェクトにおいては、有効といえます。そのためこの形式は、初期投資が大きい取り組みを計画している場合の資金調達や、新商品などのテストマーケティングとして活用されることが多いです。
国内の購入型クラウドファンディングの多くは、このオールオアナッシングという方式を取り入れており、資金調達の目的に応じてどの方式で資金調達を実施するか選択できる仕組みになっています。
クラウドファンディングでオールオアナッシング方式が選択された事例
【未来ショッピング】(株式会社日本経済新聞社運営)
800gの防水軽量多機能バックパック「ユニコーン」
2社のクラウドファンディングサイトで2度の資金調達を実施し、合計1,613名の支援者から2,000万円以上の支援を集めた後に、更なる改善を行ったプロジェクトです。
商品を製造するメーカーとして、最低限集めたい金額が明確になっているからこそ、オールオアナッシングの方式が選択されたと考えられます。
(出典:800gの防水軽量多機能バックパック「ユニコーン」)
【ソレオス】(株式会社アニメイト運営)
『I★CHU PROJECT』メインストーリー完結企画!
アニメ・声優・ゲームなどのエンタメ業界に特化したクラウドファンディングサイト「ソレオス」に掲載されたこのプロジェクトは、オールオアナッシングの目標を達成したあとも、ストレッチゴール制を取り入れ、ファンと一緒に作品を作り上げるプロジェクトとして支援を集めました。
(出典:『I★CHU PROJECT』メインストーリー完結企画!)
【Makuake】(株式会社マクアケ運営)
ちょっとそこまで”の移動を楽しく便利で快適に!【X-SCOOTER LOM】
2017年8月に同サイト内での日本最高記録(2017年8月当時)を樹立したglafit株式会社の新モビリティプロジェクト。
新規性の高い製品をオールオアナッシング方式で販売することで、低リスクでのテストマーケティングに成功した事例だと言えます。
(出典:ちょっとそこまで”の移動を楽しく便利で快適に!【X-SCOOTER LOM】)
ダイレクトチャレンジ方式/実行確約型
ダイレクトチャレンジ方式とは
オールオアナッシングと対になる方式がダイレクトチャレンジです。オールインとも呼ばれるこの方式は、プロジェクトの実施期間内に集まった金額がたとえ目標金額に達していなくても、プロジェクトの立案者はその時点で集まった支援金を全額受け取ることが可能というものです。また、目標金額に達しなかった場合でもプロジェクト自体は終了とならず、「プロジェクトの実行/リターンの履行が必ず実施される」という条件のもと継続する仕組みのため、支援者は支援したプロジェクトの内容に応じたリターンを受け取ることができます。
たとえば、目標金額が100万円のプロジェクトで50万円しか集まらなかったとしても、その50万円はプロジェクトの立案者のもとに入る仕組みとなっています。この方式は、もともと実施が予定されている企画やプロジェクト、製品の発売などに先駆けて、事前予約購入や早期購入割引などのリターンを用意することで、PRやプロモーションを強化する目的として利用されることが多くなっています。
こちらの記事ではクラウドファンディングをPRやプロモーションに活用した事例も紹介しています。
クラウドファンディングでダイレクトチャレンジ方式が選択された事例
【CAMPFIRE】(株式会社CAMPFIRE運営)
PrinCube – 世界最小のモバイルカラープリンター日本上陸!
世界での累計資金調達額が850,000,000円以上という驚異的な実績を持つプロジェクトです。
革新性が高く、クラウドファンディングに適した製品であることも、多くの支援を集めることができた要因の一つと考えられます。
先行販売の形式ではなく、すでに世界中で多くの支援を集めているプロジェクトのため、より確実に資金調達を行うことができる実行確約型が選択されたと考えられます。
(出典:PrinCube – 世界最小のモバイルカラープリンター日本上陸!)
【READYFOR】(READYFOR株式会社運営)
ONE HEART TOGETHER!~浦和レッズの未来のために~
コロナ禍において、スポーツチームや飲食店などが支援を集めるケースも増えています。
ファンの方とともに逆境を乗り越えていくというコンセプトが、多くのファンの方の共感を得ています。
リターン品はあるものの、チームへの寄付に近いプロジェクトのため、集めた支援金が確実に活用される実行確約型が選択されたと考えられます。
(出典:ONE HEART TOGETHER!~浦和レッズの未来のために~)
まとめ
今回は、オールオアナッシングとダイレクトチャレンジのそれぞれについて、クラウドファンディングにおける意味合いを確認し、その特徴に関して考察しました。
それぞれの意味や特徴を理解し、それに合わせて適切な方式を選択することが、プロジェクトの成功に繋がります。また、これまでクラウドファンディングで実行されたプロジェクトの中には、募集期間内に目標金額に達せず、プロジェクトが終了となってしまった事例が多く存在しています。そのため、今後クラウドファンディングに挑戦される方は、目標金額を慎重に設定しプロジェクトの広報活動に注力しながら、入念な計画のもと実行してみて下さい。
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