2023.12.29

クラウドファンディングのメリット、デメリットとは?種類ごとのまとめ

クラウドファンディングのメリット、デメリットとは?種類ごとのまとめ

「自分で始めたいことがあるけれど、始めるための資金が無い。」

そんな人にとって、クラウドファンディングは非常に画期的なシステムです。

クラウドファンディングとは個人や団体がインターネットを介して、実現したい夢やアイデア、思いをプロジェクトというカタチで発信し、支援したいと感じてくれた方から支援を募る仕組みです。
銀行からの借入や投資家からの出資とは違い、不特定多数の人々から小口で出資を募ることができる新しい資金調達の在り方として、注目されています。

市場規模が拡大して最近では新聞社がクラウドファンディングの運営を実践している事例も増えてきました。
また、自社クラウドファンディングサイトを構築し、独自のサイトとして運営するケースも増えています。

そんな中で、クラウドファンディングによって本来実現が困難とされていたアイデアが埋もれてしまうことなく、実現可能になった例はいくつもあります。

しかし、クラウドファンディングはメリットだけでなく、いくつかの課題も抱えています。
今回はクラウドファンディングの種類ごとにメリット・デメリットをまとめていきたいと思います。

そもそもクラウドファンディングとは?3つの種類を解説

購入型クラウドファンディング

クラウドファンディングと聞いて、まず思い浮かぶのが購入型クラウドファンディングではないでしょうか。

購入型クラウドファンディングでは、プロジェクトごとに物品またはサービスの形でリターンが設定されており、支援者はそのリターンの中から好きなものを選択し、事前購入で支援を行います。

プロジェクトタイプは

  1. オールオアナッシング(目標達成型)
  2. ダイレクトチャレンジ(実行確約型)

の2種類があり、プロジェクト立案者は実施内容に合わせていずれかのタイプを選択します。

【各プロジェクトタイプの詳細はこちら】

「オールオアナッシング」と「ダイレクトチャレンジ」クラウドファンディングでよく出るこの言葉って何が違うの?

また、現在、日本での市場の成長率が最も高いのも、この購入型クラウドファンディングです。

寄付型クラウドファンディング

寄付型のクラウドファンディングは、購入型のクラウドファンディングと違い、支援者へのリターンが設定されていません。
したがって支援者は物品やサービスの形でメリットを得ることはありませんが、支援金額に応じた寄付控除証明書の発行により、寄付金控除を受けることができます。

そのため支援者はリターンがない分、プロジェクトの実施背景や資金の使い道を見て出資先を選択し、支援を行います。

【寄付型クラウドファンディングの詳細はこちら】

寄付型クラウドファンディングに違いはあるの?各サービスの特徴を比較

金融型クラウドファンディング

金融型のクラウドファンディングは株式型、投資型、融資型に大別されます。

  • 株式型:資金を提供(株式を購入)していただいた方に、「株式」をリターンとして提供する
  • 融資型:資金を提供(融資)していただいた方に、「元本と利子」をリターンとして提供する
  • 投資型:資金を提供(投資)していただいた方に、「利益の分配等」をリターンとして提供する

【金融型クラウドファンディングの詳細はこちら】

金融型クラウドファンディングの法律的な解釈や位置づけを理解しよう
いずれの形式においても出資者は金銭的なリターンを出資の対価として得ることができ、その点が購入型や寄付型とは大きく異なります。
そのため、プロジェクトは金融商品取引法に基づいて実施され、プロジェクトの立ち上げのためには金融商品取引業者としての登録・認可をクリアする必要があります。

現状の日本での市場シェアが最も高いのはこの金融型クラウドファンディングです。

購入型クラウドファンディングのメリット

商品のPR/プロモーションの一環として活用できる

クラウドファンディングサイトには、新しい製品や面白いアイデアを求める人たちが多く集まります。

そういったユーザーの多くは、クラウドファンディングサイトにおいて、通常ECサイトで行うような商品の購入だけを目的とはしておらず、まだ市場にない良い製品やサービスを発見し、先行購入したいという思いを持っています。
そのようなユーザー層に効率的にアプローチできることは購入型クラウドファンディングならではのメリットと言えます。

また、クラウドファンディングのプロジェクトは一般的な製品の販売とは異なり、実施に至った背景やプロセスといった経過の部分も重視されるため、支援者の共感を得ることで継続的な関係を築くことができます。

自社製品のファンを作り、顧客基盤を形成することは、自社ブランド確立の一助になるはずです。

企画段階の製品のテストマーケティングに活用できる

クラウドファンディングでは、予約販売(事前購入)の形で取引を行います。そのため、プロジェクトの出品者は企画段階の製品を掲載し、資金が一定金額以上集まれば、開発を行う、といった方法でクラウドファンディングを実施することができます。
そのような形式でのクラウドファンディングはオールオアナッシング(目標達成型)のタイプで実施され、メーカーのテストマーケティングなどに用いられます。

在庫を持たずに出品し、市場の反応を伺うことができることは、リスクの低減という意味では非常に大きなメリットになります。

在庫を抱えてしまうリスクを恐れて埋もれていたアイデアの検証には、最適な手段ではないでしょうか。

低リスクで出品できる

先程ご紹介した在庫を持たずに出品できるという点は、購入型クラウドファンディングのリスクの低さの理由の1つです。それに加え、基本的に掲載に費用がかからないという点は、リスクをさらに低減させています。

クラウドファンディングは「成功報酬型」で実施されるため、支援者から支援を集めたうちの一部が費用となります。そのため、あまり支援が集まらなければその分かかる費用は安くなり、多く集まれば、その分多くの利益を得ることができる仕組みとなっています。

購入型クラウドファンディングのデメリット

資金調達に時間がかかる

事業運営において、資金調達にかかる時間は非常に重要ですが、クラウドファンディングでの資金調達ではプロジェクト掲載後、数カ月後になる可能性があります。

そのため、クラウドファンディングでの資金調達を考える場合、

  • 資金調達にかかる時間を見込んで、計画性を持ったプロジェクトにすること
  • 全ての資金をクラウドファンディングで集めようとするのではなく、あくまでも資金の一部を調達するための手段として用いること

この2点に注意していただくことが重要です。

プロジェクトが頓挫した場合、炎上のリスクがある

クラウドファンディングによって資金調達に成功したとしても、企画の実行に頓挫してしまい、プロジェクトそのものが失敗することはあります。
そういった際に、「失敗したのなら、出資したお金をそのまま返してほしい」というのは基本的に不可能です。
後述する投資型や融資型のクラウドファンディングでも、出資者への返済が滞り、貸し倒れや元本割れが起こる可能性があります。

そのため、プロジェクトを実施する際は、実現可能性を鑑みて支援者へのリターンを設定し、資金調達は行ったものの、何も実施できなかったというケースは避けなければなりません。

実績もなく無名であっても、事業を始められるのがクラウドファンディングの魅力ではありますが、注意しなければならない点でもあります。クラウドファンディングでは、詐欺が発生したケースもあり、支援者に対する信頼感の担保は重要な要素です。

アイディアが評価されても技術的に可能でなければ失敗する事例もあります。

また失敗した場合には返金するといった対応も必要になる場合があります。

クラウドファンディングが失敗して返金になった事例まとめ

こちらの記事ではクラウドファンディングで炎上した事例も紹介しています。

プロジェクト立案者と支援者が互いに満足してクラウドファンディングを活用できるよう、上記のようなケースに陥らないよう十分に注意しましょう。

アイデアが盗まれる

クラウドファンディングでは、実現していないアイデアをネット上で公開してしまうため、資金調達前にアイデアが盗用されてしまうリスクがあります。
開発を進めている最中に、他の誰かに特許を取得されてしまっていたというような事態を防ぐためにも、自分のアイデアをどう守るか、予め考えておく必要があります。

クラウドファンディングに情報を公開する前に、特許を出願しておくことは、アイデア盗用を防ぐ手段として非常に有効です。

特許の申請を面倒に思う方や、よくわからないという方もいらっしゃると思いますが、クラウドファンディングサービスの中には、kibidangoのように特許に関する手続きをサポートしてくれるものもあります。炎上させないコツが重要になってきます。

寄付型クラウドファンディングのメリット

プロジェクト立案者の金銭的負担がない

冒頭でご紹介した通り、寄付型のプロジェクトでは、基本的に支援者へのリターンは設定されておりません。そのため、プロジェクト立案者は掲載に費用がかからないだけでなく、リターンの準備に費用がかかることもないため、負担を抑えて公益性の高いプロジェクトを立案することができます。

被災地の支援や社会課題への取り組みなど、プロジェクトの内容も多岐に渡っており、集められた資金の使途は様々です。

また、寄付型のクラウドファンディングのプラットフォームも国内に複数存在しています。

【国内の主要な寄付型クラウドファンディングプラットフォーム】

国内の主要な【寄付型】クラウドファンディング比較/まとめ

インターネット上で気軽に寄付が出来る

寄付というと、街頭での募金などの、直接的な資金の提供をイメージされる方が多いかもしれませんが、寄付型のクラウドファンディングでは、インターネット上で支援したいプロジェクトを選ぶだけで、後はサイトの支払い方法に従って寄付を実施できます。

自分の興味のある分野や、援助をしたい内容のプロジェクトを検索し、手軽に寄付が実施でき、匿名で誰にも知られずに行える点もメリットと言えるでしょう。

寄付型クラウドファンディングのデメリット

市場価値のあるリターンを設定できない

先程、寄付型クラウドファンディングのメリットとして、基本的に支援者へのリターンが設定されていないため、プロジェクト立案者の金銭的負担がないことを挙げましたが、裏を返せばそれは支援者へ市場価値のあるリターンを設定できないことと同じです。

そのため、プロジェクトの立案者は各プロジェクトの目的や集めた資金の使途を明確化し、共感を集めることができなければ支援を集めることができません。

透明性の高さが求められる

寄付型のプロジェクトでは、先程ご紹介した通り、基本的に支援者へのリターンが設定されていないため、プロジェクトの目的や集めた資金の使途がより重視されます。

そのためプロジェクトに共感し、支援を行った支援者は、支援したプロジェクトの状況を確認し、自分の支援がどのような形で貢献しているかに注目します。

資金を集めても、結果の報告が不透明であったり、不誠実な使途が疑われてしまう場合は、問題につながる場合もあるでしょう。

金融型クラウドファンディングのメリット(出資者側)

少額からの投資が可能

最低投資金額が1万円〜など、少額からでも投資が可能です。

投資と聞くと、まとまった資金が必要なイメージはあるかもしれませんが、投資型クラウドファンディングでは最低金額が低く設定されているケースが多いため、手軽に資金提供を行うことができます。

また、運用資金だけでなく、手数料も気になるかと思いますが、こちらも利用するプラットフォームによって差はありますが、ほとんどかからないタイプもあります。

利回りが高い

期待できる利回りが高い点も特徴です。
もちろん案件やプラットフォームにもよりますが、期待利回りは約5%〜10%と高く設定されています。

参考までに、銀行の定期預金の金利は0.01%であり、そこから比べても非常に高い水準であることがわかります。
投資効率の優れた投資先が多いことは魅力的と言えるでしょう。

投資を行なった後の負荷が少ない

金融型クラウドファンディングでは、投資を行なった後の運用の手間が少ないことが特徴です。
基本的には投資を行った後は分配を待つ状態となるので、出資者側が市場の様子を常にチェックし、こまめに運用するような必要はありません。

一度投資をした後は、収益の分配を待つのみとなるので、出資者側の負荷は低いと言えるでしょう。
多忙な中で投資を始めてみたい方にはおすすめの手段です。

金融型クラウドファンディングのデメリット(出資者側)

投資できない可能性がある

投資型クラウドファンディングでは、通常、誰でも好きな案件に対して投資を行うことができます。
しかし、人気の案件だと、募集が殺到してしまい、即座に投資が不可能になってしまうようなケースがあります。
希望の案件への投資が確約されているわけではないことは、やや残念な点かもしれません。

貸し倒れのリスクがある(融資型)

融資型クラウドファンディングでは、元本や利子の保証がありません。
そのため、貸し倒れのリスクがあり、事前の入念な下調べが必要不可欠です。

ちなみに、貸し倒れとは、「売掛金や貸付金などの債権が、倒産などの理由で回収できず損失となること」であり、この場合、融資先の企業の財政が悪化した際、出資した資金が帰ってこない可能性があるということです。

企業の経営状態や動向はしっかりと事前にリサーチしておきましょう。

商品の流動性が低い(投資型)

投資型クラウドファンディングにおいて、投資期間は固定であり、その期間中の売却や解約はできません。
また投資型の中の株式型では、スタートアップ企業の株はなかなか売れないことも多く、流動性が低いことが特徴です。
そのため、短期的な利益を期待せず、数ヶ月単位の運用を前提に考えましょう。

通常の株式投資とは異なるリスクが伴うことも把握した上で、投資先を選んでいく必要があります。

まとめ

種類ごとにクラウドファンディングのメリット・デメリットをまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

どの分類のクラウドファンディングも、魅力的な側面を多く持っているものの、デメリットも確かに存在します。

クラウドファンディングを利用する際には、起案者と出資者の両方が、これらのリスクを把握し、正しい理解のもとで行動することが求められています

プロジェクトを立案する側も、支援する側も、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、有効的にクラウドファンディングを活用しましょう。

投資型クラウドファンディングとは?メリットやデメリット・注意点を徹底解説

投資型クラウドファンディングを徹底比較

関連記事

今後クラウドファンディングが日本で普及するためにクリアしなければならない課題まとめ

Facebookページから
最新情報をお届け

記事のアップデート情報や新規情報はFacebookページで随時配信されております。
気になる方は「いいね!」をお願いいたします。

新規事業・イノベーションガイドブック

4,000社、20,000の事業開発で得た新規事業立ち上げのノウハウを一部無料公開。

<本資料の主な解説事項>
なぜ今、新規事業やイノベーションが必要なのか?
新規事業開発は、なぜうまくいかないのか

無料ダウンロード
Category archive

クラウドファンディングの記事

資料請求、お問い合わせはフォームからお気軽にご連絡ください。

お問い合わせ